声明・アピール・決議
民意をゆがめる比例定数削減に反対する決議

  1.  与党民主党は、先の参議院選挙に向けたマニフェストに衆議院比例代表制の議員定数を現在の180議席から80議席削減するとの政策を掲げた。
     その後、紆余曲折があったものの、菅首相は、今年1月26日、通常国会の施政方針演説で、「負担(消費税増税)の議論にあたって、議員定数削減など国会議員も自ら身を切る覚悟を国民に示すことが必要」と述べ、改めて定数削減を行うことに言及した。これは、民主党が昨年12月の議員総会で配布した選挙制度に関する部外秘資料において示した「比例定数削減を必ず実行し、将来完全小選挙区制をめざす」という方向にそって、この通常国会にも法案提出をめざすという意思の表明である。

  2.  そもそも国会議員は、国民の多様な要求を政治に反映させる役割を担っているものであり、相当な議員数の確保は民主主義を実現するため絶対に必要なものである。この点、日本の国会議員数は、イタリア・イギリス・フランス・ドイツ等西欧諸国に比しても少ないのであり、民主主義を後退させるような議員定数削減は行われるべきでない。
     また、比例代表選挙制度は、多様な民意を議席数に正しく反映できる優れた制度であるにもかかわらず、この制度での当選議員を削減し、多くの死票を生む小選挙区制度での当選議員の比率を上げることは、少数意見の切り捨て、中小政党の国会からの排除につながるものである。
     実際、比例定数を80削減された場合を2009年の総選挙の選挙結果で試算した場合、公明党・共産党・社民党・みんなの党・国民新党・新党日本の6つの党の比例部分の得票率が30.9%であるにもかかわらず、全体の8%の議席しか得られないことになり、一方、民主党は42.4%の得票率で68.5%の議席を得ることになる。
     民主党の狙いは、少ない得票率でも多数の議席を得ることのできる選挙制度に改変し、これによって国民の中に根強い反対のある消費税増税や憲法9条の改悪など重大な諸施策を断行しようとする点にある。

  3.  民主党は、衆議院の比例定数を削減する理由として、国会議員が自ら血を流して無駄を削減すべきという点を挙げている。しかし、相当な議員数とそのための必要経費は無駄ではなく、民主主義を維持するために必要不可欠なものである。
     また、現在、共産党以外の政党は、合計約320億円もの政党助成金を受け取っているが、政党はその政策を支持する個人の支援によって運営されるべきものであり、この拠出こそ、国民の思想信条にも反する不当で無駄な支出として廃止されるべきである。
     
  4.  大阪では、今年1月28日、民主法律協会を含む5団体の共催で、「民意をゆがめる比例定数削減ストップ! 1.28府民のつどい」が開かれ、この集会は約1000名の参加で大きく成功した。民主法律協会は、今後とも、比例定数削減反対の一致点での広範な運動を広げ、民主党のこのような党利党略的な暴挙を阻止する決意を表明する。

2011年2月6日
民主法律協会
 2011年権利討論集会参加者一同
   
 
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