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- 2008年秋頃から労働者を襲った数十万人にも及ぶ大量の「派遣切り」や、派遣労働者の生命すら脅かす状態になったため急遽自助的に行われた「派遣村」に象徴されるように、現行の労働者派遣法は、派遣労働者・偽装請負労働者の使い捨てとその生活破壊に全く無力であることを露呈した。
未だ約302万人が派遣労働者として就労し、かつ偽装請負労働者も多数存在する状況であり、これら労働者の生活と権利のために、実効ある労働者保護を図るための労働者派遣法の抜本改正は、待ったなしの課題である。
- 政府は、2010年3月19日に、労働者派遣法の改正案を国会に提出した。同法案は、昨年の衆議院選挙直前に現政権与党が国会に提案した法案よりも後退したものとなっている。具体的には、@常用型の製造業務派遣を一般的に認めている結果、もはや「原則禁止」とさえ呼べないものになっていること、A派遣労働者の労働条件について「派遣先の労働者との均衡を考慮する」とされているのみであり、その内容はパート労働法の規制よりも緩いものとなっていること、B派遣先の責任強化について以前の法案の内容をほとんど削除していること、などである。これは政権与党の国民・労働者に対する重大な公約違反といえる。
また、政府は、この改正案についてさえ、先の通常国会でまともな審議も行わないまま、国会閉会に伴い継続審議として先送りし、さらに昨年秋の臨時国会においても審議を行わないまま先送りした。欠陥法であることが明らかな現行法改正の1日の遅れは、それだけ多くの「派遣切り」「派遣村」を生むのであり、これを放置した政府の怠慢は厳しく批判されなければならない。
- 菅政権は、現在開会している通常国会において、改正案の審議をするとしている。
同改正案は、「派遣切り」の手段となった登録型派遣を原則的に禁止している点、製造業務については登録型派遣を例外なく禁止している点、一定の派遣法違反があった場合において派遣先との労働契約申込みみなし制度を創設している点などにおいて労働者の保護に資する規制が加えられている。
もちろん、登録型派遣の原則禁止には広範な例外が設けられている点、「常用雇用」に一定の要件を満たす有期派遣労働契約も含むとしている点、労働契約申込みみなし制度の適用について派遣先の故意・過失を要件とし、また新たに成立する労働契約について有期労働契約であってもよいとしている点、登録型派遣・製造業務派遣の原則禁止について最大5年の猶予を認める点など不十分で抜け穴が多い点が多々存在する。また、同改正案は、政令指定業務派遣の雇入れ申込み義務に関する現行規制を撤廃するという改悪内容も含んでいる。
これらの不十分点や改悪点を是正した内容での労働者派遣法の抜本的改正が実現されるべきである。また、労働者の窮状に鑑みれば、これ以上の先送りは絶対に許されるべきでなく、とりわけ登録型派遣・製造業務派遣の原則禁止、労働契約申込みみなし制度の創設については、今国会において成立させるべきである。
- 民主法律協会は、政府及びすべての国会議員に対し、労働者の使い捨てを許さない、真に実効性のある労働者派遣法の抜本改正を行い、これを早期に実施すべきことを求めるとともに、労働組合その他の運動団体と連帯して、その実現に向けて奮闘する決意を表明する。
2011年2月6日
民主法律協会
2011年権利討論集会参加者一同
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