本年7月21日に実施された参議院議員選挙において、改憲に積極的な勢力(自民・公明・維新)は、非改選の議員数も含めて160議席にとどまり、憲法改正の発議をするために必要な3分の2(164議席)には及ばない結果となった。
ただし、その差はわずか4議席に過ぎず、予断を許さない状況にあり、自民党は、引き続き憲法改正を目指す姿勢を崩しておらず、与党は議席数を減らす結果となったにもかかわらず、首相は、「少なくとも議論すべきだという国民の審判は下った」などと述べている。
今後、与党は、一部の改憲に前向きな野党議員の取り込みを行うことで、3分の2を確保することを目論んでいるものと思われ、未だ予断を許さない状況である。
平和主義と国際協調主義を基本的態度とした日本国憲法において、憲法9条は、これらを具体化した規定であり、憲法に集団的自衛権を行使しうる自衛隊を明記し、戦争を行えるようにする改正を行うことは、憲法の基本的態度に反するものであり、許されるものではない。
また、憲法改正の発議の後に行われる国民投票の手続についても、広告規制等に欠陥があり、資金力のある改憲勢力を不当に利するなどと指摘がなされ続けているにもかかわらず、未だ国民投票法の改正は実現していない。加えて、2019年5月9日に開催された衆院憲法審査会において、民放連は表現の自由に抵触する恐れからCM量の自主規制に反対する立場を表明しており、業界団体による自主規制も期待できない状態にある
このように、戦争を行うことができるようにするための憲法改正には、必要性も正当性も認められず、手続面でも前記のような重大な欠陥を抱えた状況のままであるから、平和の礎となってきた憲法の改正の発議が行われることは絶対に阻止しなければならない。今後も、改憲に反対する国民の意思を示し続ける取り組みを継続し、憲法改正の発議を阻止することをここに宣言する。
2019年8月31日
民主法律協会第64回定期総会