決議・声明・意見書

決議

憲法改正の発議に反対する決議

自民党の憲法改正推進本部は,2018年3月24日,自衛隊の明記や緊急事態条項の創設を含むいわゆる改憲4項目を発表した。しかし,昨年秋の臨時国会は,自民党が憲法調査会で改憲案の提示すらできないまま幕を閉じた。
3000万人署名や街頭宣伝などの草の根の取り組みが国民世論を喚起し,憲法改正を推し進めようとする動きを押しとどめているといえる。

日本国憲法の改正手続に関する法律(国民投票法)の広告規制が不十分であるという問題も放置されており,現行の国民投票法では,改憲勢力が圧倒的な資金力を背景に宣伝を繰り広げ,世論を改憲の方向に不当に誘導する危険が大きい。
民放連は,CMの量的な自主規制を行わないことを決定しており,現状のまま憲法改正の国民投票に至れば,広告量の格差による手続きの不公正さが顕在化することは必至である。

安倍総理は,2019年2月10日の自民党大会で,2020年の憲法改正をなおも目指す旨の発言を繰り返している。その大会では,安倍総裁は「自衛隊の新規隊員募集に,都道府県の6割以上が協力を拒否しているという悲しい実態がある」「この状況を変えようではないか」と呼びかけたと伝えられている。
実際は,9割もの市町村がすでに自衛隊員の募集に協力していたことがすぐに指摘され,安倍総理の印象操作がさらなる批判を呼んでいるが,安倍総理のこの言葉にみられるように,憲法9条に自衛隊が明記されれば,憲法上の組織であることを錦の御旗として,すべての地方自治体の公務員,勤労者,国民が戦闘行為につながる自衛隊への協力を強いられることになりかねない。

憲法改正の必要性も正当性も認められず,手続面でも前記のような重大な欠陥を抱えた状況のまま,国の根幹をなす憲法の改正の発議が行われることは絶対に阻止しなければならない。
本年は,統一地方選,参院選など選挙を通じて憲法改正の動きを止めることができる絶好の機会である。

当会は,憲法改正の策動に終止符を打つべく,多くの団体,個人と連携し,憲法改正の発議に反対する取り組みをこれまで以上に強めていくことを決議する。

2019年2月16日
民主法律協会2019年権利討論集会

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