- 日本航空は12月9日、パイロット94名と客室乗務員108名(合計202名)に対して、12月31日をもって解雇するとの通告を強行した。
本件整理解雇は、日本航空自らが設定した1,500名の削減目標に対して1,688名が希望退職に応じていることや、10月までの営業利益が累計で1,327億円にも達していることなどからしても、解雇の必要性すら全く認められないものである。また、病歴や年齢の高い順に対象者を人選していることは、憲法27条の勤労権やILO条約・勧告に照らしても違法なものである。
この点、日本航空が会社更生手続開始決定を受けたことを理由に、裁判上確立されてきた整理解雇の規制が緩和されるかのような見解が流布されているが、この見解が誤りであることは、民事再生手続開始決定後の整理解雇の事案である山田紡績事件において明確に判断され(名古屋高裁2006年1月17日判決)、最高裁でもその判断が是認されている。法的再建手続きの過程であっても、整理解雇の法理は厳格に適用されなければならないのである。
日本航空は、違法・不当な整理解雇を直ちに撤回すべきである。
- 本件整理解雇に対しては、労働組合その他の団体・個人から日本航空に対する抗議とその撤回を求める声が広がり、12月20日には、「日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議」の結成が呼びかけられた。
国民支援共闘会議は、本件整理解雇に対するたたかいが、「日本航空に働くすべての労働者の生活と権利を守るたたかいであるとともに、利用者・国民の立場に立った日本航空の再建、安全・安心の航空行政をめざす国民的な課題である」と位置づけ、具体的には、たたかいの意義を次の3点にまとめている。
第1に、このたたかいが、整理解雇の法理を確固として守らせるという、すべての労働者の雇用にかかわる国民的意義があること。
第2に、このたたかいが、日本航空の再建を、「利益優先」ではなく、「安全性」と「公共性」の確保を貫いたものにするために必要であること。
第3に、このたたかいが、国民の移動する権利を犠牲にする航空政策を改めさせ、日本航空を国民の足として再生するという国民の願いと不可分のものであること。民主法律協会は、国民支援共闘会議の結成を歓迎し、この呼びかけに積極的に賛同する。
- 民主法律協会は、日本航空の労働者のたたかいに連帯して、12月24日に予定している「12.24 JAL労働者の闘いに連帯する緊急集会inおおさか」を成功させるなど、本件整理解雇を撤回させるための取り組みを行うことを表明する。
2010年12月22日
民 主 法 律 協 会
会 長 萬井 隆令