今秋、再び大阪都構想の住民投票が企てられている。
大阪市民は、2015年5月、住民投票で、明確に大阪都構想を否決した。当時の橋下徹市長は、「2度目の機会はない」と繰り返し訴えた。そのわずか3年後の再度の住民投票は、まさに府民や市民を愚弄し、何の道理もない。
大阪都構想は大阪市を解体し、暮らしを支える市政の仕組みを崩壊させ、大阪市の財源、権限を大阪都がむしり取り、一人の指揮官によるやりたい放題の政治体制を招く。住民本位の地方自治の実現に程遠く、住民投票で否決された。
今回の都構想は、前回否決された「5区案」ではなく、「4区案」か「6区案」である。その本質は、前回の都構想と変わらない。今回、大阪府が大阪市の権限や財源を得れば、様々な問題をはらむカジノ誘致や大型公共事業を一層強力に推進できるようになる。
今回、住民投票前に「基本議決」を議会で可決することが画策されている。
基本議決は、住民投票で都構想が否決された場合に備え、大阪市を8区に合区する「総合区」の導入をあらかじめ議決するものである。
総合区は、住民投票なしで、条例のみで導入できるとされている。
しかし、総合区も、結局は、住民への十分な説明や議論なしに、現在の24区を8区にする極めて乱暴な案である。合区により、身近な行政サービスの窓口が遠くなり、行政サービスに格差が生じる危険がある。
このような枠組では、住民投票がどちらの結果でも、現在の大阪市24区のかたちが消える。
大阪市民は、2015年、住民投票で、現在の24区の大阪市のままが一番よいという審判を下した。
今回浮上している住民投票は、現在の24区のままがよいとする市民の意思を、意図的に無視している。住民自治の観点からも見過ごせない。
民主法律協会は、2015年の住民投票の際も、大阪市の解体を許さない多くの民主団体や市民とともに、都構想に強く反対した。大阪都構想の本質は、現在の市政の仕組みをつぶし、市民の暮らしを破壊し、一人の指揮官によるやりたい放題の体制をつくることにある。民主主義と地方自治を根底から覆し、到底容認できない。
民主法律協会は、大阪都構想の住民投票を阻止するため全力で取り組み闘う。
2018年2月17日
民主法律協会2018年権利討論集会