安倍政権は、今、開かれている通常国会で「働き方改革推進一括法案」の提出・成立を狙っている。
しかし、同法案は、過労死の労災認定基準に該当する月80時間から100時間の時間外労働を法で明確に許容し、連続勤務の規制を何らしないうえ、長時間労働が深刻化している新商品の研究開発等、建設、自動車運転、医師の業務を適用除外としている。
また、労働時間規制を緩和する高度プロフェッショナル制度の新設や裁量労働制の対象業務拡大を盛り込んでいる。裁量労働制には年収制限すらない。
同法案は、管理職のすぐ下で働く多くの労働者の生命、健康に重大な危険をもたらす長時間労働を容認するとともに、残業代不払いを合法化するものである。
また、同法案は、非正規労働者の均等待遇に関する規定を盛り込むが、そもそも非正規労働者としての雇用を何ら規制しないうえ、格差が不合理かどうかの判断にあたって、職務の内容以外の事由を広く考慮することを許容しており、非正規労働者の待遇改善は到底図れない。
そして、上に述べたような重大な問題をもつ法案を、罰則付きの残業時間の上限規制や非正規労働者の均等待遇という聞こえの良い法案と抱き合わせで提案し、過去二度にわたって廃案に追い込まれた残業代ゼロ法案を成立させようとすることは、いわば「不良品の抱き合わせ商法」のような手口であり、到底許されない。
以上のような問題のある「働き方改革推進一括法案」の成立に断固反対する。
労働者の生命、健康、人間らしい暮らしを守り、不合理な格差を社会からなくす立場に立ち、真に実効性のある労働時間規制、非正規雇用の入口規制、均等待遇規定を求める。
2018年2月17日
民主法律協会2018年権利討論集会