安倍政権は、今国会に安全保障関連法案を提出し、すでに衆議院において強行採決され、現在、参議院で審議されている。異例の長期間の会期延長で今国会での法案成立が狙われている。
本法案は、わが国への直接の武力攻撃が行われていないにもかかわらず自衛隊による武力の行使を可能とし、また、自衛隊の海外での活動についての地理的な制限や「非戦闘地域」の限定を取り払い、その活動の範囲・内容を大幅に拡大するものである。「いつでも」、「どこでも」、自衛隊が米国等の戦争に参加することを可能にする「戦争法案」にほかならない。
法案は、恒久平和主義の立場に立ち、武力行使・交戦権を放棄した憲法9条に明白に違反している。また、「憲法9条の下では、集団的自衛権行使や、他国の武力行使との一体化はできない」としてきた歴代政権の見解をも踏み越えるものである。
参議院特別委員会の審議では、安倍首相をはじめ、閣僚らは、画一的な答弁に終始し、情報開示も不十分であり、熟議を尽くすという民主主義の原則がないがしろにされている。さらには、法案が国会で審議が始められる以前から、防衛省が、法案成立後の自衛隊の活動等について、事前に部隊編成を含めた検討を行っていたことが暴露された。国会を無視した防衛省・自衛隊の暴走である。
11本もの法案をまとめて一括して審議されているが、本来なら1本ずつ丁寧に審議すべきであり、一会期で審議を尽くすことは到底できない。しかも、審議を重ねるほど、法案の違憲性が明らかになるばかりであり、廃案にするほかない。
各種の世論調査では、法案に反対する意見が6割を越え、「説明不十分」との意見は8割を越えている。若い世代をはじめ、与党支持層も含む広範な反対の声が広がり続けている。
民主法律協会は、本法案に断固反対し、すみやかに廃案にすることを求める。
2015年8月29日
民主法律協会第60回定期総会