2012年4月に公表された、自民党の日本国憲法改正草案は、侵略戦争の反省を投げ捨て、平和的生存権を否定し、国防軍の全面展開によって恒久平和主義を否定して戦争をする国へ転換するもので、現憲法の理念を根底から覆すものであった。
2012年12月に発足した安倍政権は、この改憲草案を実行に移すべく、「戦争する国」づくりを強引に進めてきた。
当初は、憲法第96条の憲法改正発議要件を緩和する議論を始めた。憲法改正発議要件が緩和されると、権力行使を制限される立場にある政府が、その制限を免れるために容易に憲法改正案を発議できるようになる。このように、国民主権、平和主義及び基本的人権の尊重を定めた憲法をその時々の政府の考え方によって容易に改正できるようにすることは、憲法の最高法規性に反し断じて許されない。
安倍政権は、その後も、戦争する国づくりに邁進する勢いを緩めることなく、2014年7月1日には、集団的自衛権行使を容認する閣議決定をおこなった。これは、日本が戦後歩み続けてきた平和国家の道を根本から転換するものであるとともに、一内閣の閣議決定によって、憲法第9条の内容を実質的に変更してしまうものであり、立憲主義の大原則を踏みにじる暴挙である。
この閣議決定に先立ち、安倍政権は、秘密保護法の制定、「日本版NSC」の設置、武器輸出三原則の破棄等を行ったが、それらはいずれも、日本が軍事優先の国家となり、集団的自衛権の行使及び海外での武力行使を行うための地ならしともいうべきものである。これらはいずれも、憲法前文と第9条が規定している恒久平和主義と平和的生存権保障という基本理念を踏みにじるもので、まさに違憲の行為である。
2014年12月の総選挙を経て発足した第3次安倍政権は、集団的自衛権行使容認の閣議決定に基づき、「戦争する国」づくりのための立法措置を推し進めようとしている。しかし、テロの脅威や中国の脅威が強調される今だからこそ、憲法が指し示す「力によらない平和の実現」の考えに基くべきであり、対話と外交によって国際紛争の解決を目指す基本姿勢を崩すべきではない。アジア太平洋戦争終結70年の本年、侵略戦争への痛苦の反省から生まれた憲法を投げ捨て、日本を再び「戦争する国」に逆戻りさせようとする安倍政権の暴挙を断じて許してはならない。
民主法律協会は、安倍政権の憲法破壊、「戦争する国」づくりに対して強く抗議し、集団的自衛権容認閣議決定を具体化させる関連法案の制定を絶対に阻止するために全力を尽くすことを決議する。
2015年2月7日
民主法律協会 2015年権利討論集会