日本国憲法第9条は、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と定めている。この日本国憲法が制定されて以来、歴代政権は、一貫して、集団的自衛権の行使は、日本国憲法第9条によって禁じられていると解釈してきた。
ところが、安倍内閣は、閣議決定によってこの憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認しようとしている。
そもそも憲法は国家権力を規制するために主権者である国民が制定したものであり、国務大臣や国会議員には憲法を尊重し擁護する義務が課せられている。時の内閣が、閣議決定によって、恣意的にその解釈を変更することは、憲法尊重擁護義務に違反し、立憲主義をないがしろにするものであって、許されない。
日本国民は、恒久の平和を念願し、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、日本の安全と生存を保持しようと決意したのであり、その具体化として、国際紛争を解決する手段として「武力による威嚇又は武力の行使」を行うことを永久に放棄したのである。日本が直接に攻撃の対象となっていないにもかかわらず、同盟国を助太刀するために日本の自衛隊を海外に派兵するという集団的自衛権の行使は、日本国憲法が定める平和主義に明確に反するものである。
民主法律協会は、憲法に違反して、集団的自衛権の行使を容認するような閣議決定を断じて許さない。安倍内閣には、閣議決定による憲法解釈の変更をしないよう強く求める。
2014年6月30日
民 主 法 律 協 会
会長 萬井隆令