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2009年12月10日
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「大阪府の施設における国旗の掲揚に関する条例案」の
廃案を求める意見書 |
民 主 法 律 協 会
会 長 萬井 隆令
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- 自民党大阪府議団は、11月25日、「大阪府の施設における国旗の掲揚に関する条例案」を提出することを決定し、12月15日までの定例府議会の会期中での可決をめざすことを表明している。
しかしながら、同条例案は、府民の思想・信条の自由を侵害し、学校教員や府職員、生徒・児童や施設の利用者に「愛国心」を強制する契機となるものであって、制定されるべきではない。
同条例案第1条は、「府の施設における国旗の取り扱いを定めることにより、国を愛する府民の意識の高揚と、次代を担う子どもたちの国際感覚の収得に寄与することを目的とする。」とあり、国旗掲揚を通じて、いわゆる「愛国心」の高揚目的としている。しかし、侵略戦争のシンボルとしての「日の丸」に対する忌避感を有する府民にとっては、「日の丸」を掲揚し、「愛国心」の高揚を要求されることは、耐え難い思想・信条の蹂躙である。そもそも、国旗国歌法ですら、「日の丸」を国旗と定めているにすぎず、これを「愛国心」高揚の手段とすることを予定していない。同条例案は、違憲・違法の条例である。
また、「日の丸」を掲揚する以上、その掲揚・収納につき学校教員や府職員に職務命令が発令され、当該教職員の思想・信条に反する行為を強制することが当然に予定される上、生徒・児童や施設利用者に対し、掲揚した「日の丸」に対する尊重を要求するなど、その思想・信条を暴露させられる事態も懸念される。現在の国旗国家法においては、政府答弁で、「日の丸」の掲揚や「君が代」の斉唱が児童・生徒に心理的な強制力が働くような方法で指導が行われることなく、国民に対して強制するものではないと述べられたにもかかわらずである。学校現場では、卒業式などの学校行事で、「日の丸」を掲揚し、「君が代」を児童・生徒に斉唱させるよう指導する命令が出され、これに従わない教員に処分がなされることにより、児童・生徒に「君が代」の斉唱が義務づけられたのと同様の効果がもたらされていることからすれば、上記の懸念は、杞憂にとどまらない差し迫ったものである。
このように、同条例案は府職員や府民の思想・信条の自由を侵害するものであるから、私たちは、その否決・廃案を求めるものである。
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