民放労連京都放送労働組合
京都放送(略称・KBS京都)から近い将来派遣社員がなくなります。全国どの事業所でも派遣社員は不可欠な戦力です。そのような中で今回京都放送労組は、派遣社員を無期雇用にするという画期的な成果をあげ派遣社員をなくす一歩を踏みだしました。
派遣社員
要求だせば直用化
この闘いは、6年前の13年の春闘から始まりました。テレビ進行(放送番組のプレビュー業務)職場の派遣社員組合員を契約終了後即派遣先・KBS京都へ直用化したわけですが当時会社は、「半年の空白期間をもうける」と主張しましたがこれを論破しました。そして4年後の17年に組合は、派遣社員の直用化を制度にすることを求め会社と労使協定を締結しました。内容は、組合が3年契約終了前に「KBS京都への直用を求める」という要求をだせば会社は、無条件で応じるというものです。この制度で去年2名の派遣社員組合員がKBS京都へ直用(有期雇用3年の常勤アルバイト)となりました。しかし直用化闘争を闘いながら有期雇用のことも視野に入れていました。雇用の原則は、直接雇用であり無期雇用です。組合の闘いの視点は、困難な闘いほど一点突破・全面展開を心掛けています。今回もまず直用化制度をつくりその上で無期雇用をめざすという戦略です。
会社恐れる
組合の社員化闘争
組合は、去年直用化が実現するとさっそく春闘で無期雇用化の要求をだしました。会社が一番恐れているのは、組合が社員化闘争をし実現することです。組合は、この半世紀格差是正の闘いを続け、約150名の非正規労働者を社員化・直用化・雇い止め撤回を実現した歴史があるからです。
このため無期雇用イコール社員化を恐れ会社は当然要求を拒否しました。しかし組合は、先ほどの一点突破の方針をとり対象職場をしぼりこみました。それは、「再建前には社員が行っていたが再建途上に導入された常用雇用代替職場」と「応募しても応募者がみつからない職場」です。
一点突破の戦略
合意に踏みきらせる
この組合提案に会社ものり、今年の春闘で無期雇用化の制度が実現しました。その内容は、①対象職場は、テレビ進行・パブリックセンターと報道カメラアシスタント②対象者は、常勤アルバイト③契約は、有期雇用3年終了後さらに1年有期雇用契約を3回更新、その後労働契約法18条で無期雇用転換を申し出る④賃金は、常勤アルバイトの時給、慰労金は、構内スタッフの最高額(現在10万円)です。
そして6月にカメラアシスタント職場の男性組合員が制度第1号となりました。
信じられない無期雇用
解決へ7要因
該当する組合員からは、「派遣の自分たちが派遣先KBS京都に雇われることに驚いたのに今度は、60歳まで働けるとは信じられない」「仕事に力を入れていきたい」「KBS労組は本当に頼りがいのある信頼できる組合である。感謝している」と喜びの声が聞かれました。
今回の派遣社員の無期雇用化実現の要因は、次の点があげられます。
①同一価値労働同一賃金の方針をもち非正規労働者に不断に寄り添う姿勢②これまでの闘いの蓄積を教訓化③非正規労働者を仲間として組合に迎え入れる。120名の組合員数の4割を占める。要求の掘り起こしをする④闘う対象者をしぼり込みその人を先頭にして闘う⑤解決の道筋をつくる執行部のリーダーシップ⑥最終解決にいたるまでは徐々に風穴をあける一点突破・全面展開の方針⑦上部団体民放労連と地域の仲間それに大学教授・弁護士との協力。
組合は、今後①対象職場を広げる②待遇改善をはかることに力を入れ構内から不安定雇用の派遣社員をなくすことにしています。
最後に組合の闘いに関心をもっていただいているみなさんから「価値ある成果」「全国に発信して下さい」「味のある合意内容はみごと」とのメッセージをいただき、これを糧にさらに奮闘していく覚悟です。