航空連スカイネットワーク大阪エミレーツ航空分会
私達エミレーツ航空原告3名が2014年9月1日に解雇されて3年、提訴から2年8ヶ月が経過した2017年10月23日に、大阪地裁での地位確認裁判は勝利判決が出ました。判決は整理解雇の4要件が満たされていないということで、賞与の一部は認められませんでしたが、ほぼ全面勝利でした。
裁判所は、人選の合理性と手続きの相当性については問題なしと判断しました。しかし、被告の財務状況が、解雇に至るまで26期連続黒字を計上し、経営は安定的なもので、人員削減を行う必要性や緊急性は高かったとは認められないことからすれば解雇を回避すべき高度な回避努力義務を果たす必要があったにもかかわらず、被告は十分な解雇回避努力義務をしていないとして、本件整理解雇は無効であると判断したのです。
エミレーツ航空の解雇が司法に不当だと判断されたことは、大変嬉しく思います。ただ、私達が一番主張したかった不当労働行為については争点にすら含まれていませんでした。
労組加入から解雇の経緯
2012年に中途採用された私達が配属された西日本支店予約発券課は、パワハラと未払い残業が随時発生している職場で、新入社員が入っては辞めていくの繰り返しでした。そのような職場環境の改善を目指して2013年1月、私達は航空連一般労組のスカイネットワークに加入し、3人で分会を結成したのです。
分会結成からすぐに会社と団体交渉を行い、幾つかの職場での労働環境の改善や訓練の充実という進展もありました。しかし、一番重要な、パワハラと未払い残業については最後まで平行線のままでした。私たちは、様々な証拠を提出し、解決のギリギリまで会社を追い込んでいました。そんな矢先の2014年5月に、「日本路線が赤字なので、1ヶ月後に予約発券課と名古屋営業所を閉鎖する」と、会社が発表しました。会社は異動先として3つの営業ポジションを作りましたが、異動が認められるのは営業関連の仕事をしていた従業員3名だけでした。両部署に所属していた従業員13名のうち7名は内容が一切公開されない早期退職条件を受け容れ退職し、残された私達3名は職場閉鎖と同時に自宅待機になり、最終的に解雇されました。
なぜ不当労働行為だと私達が主張するのか
広州にコールセンターが何年も前から計画されていて、2012年から入電の一部を広州コールセンターに段階的に転送し始め、仕事量が減っていくことに懸念した私達は2013年の団交の1回目からそのことに常に触れていました。しかし会社は自然減で対応する、すべて広州に移転されても、他の仕事に対応してもらう、と発言していました。それなのに、団体交渉が行き詰まり、会社の返答が曖昧になってきた途端、いきなり職場閉鎖となりました。
会社による一連の行動は私達組合員を解雇するために職場ごと排除し、他の社員を道連れにすることでカムフラージュした不当労働行為であると私達は主張しています。また職場閉鎖時に組合員以外の従業員に対しては1名ずつ個別交渉を行い、早期退職の条件を提示したようですが内容は全く明らかになっていない中、早期希望退職した1名が現在、復職しています。
2009年の名古屋空港からの撤退時には、社内全体で早期退職募集を行い、1名の希望退職者以外全員が異動配置されています。その時と明らかに違う理由はただ1つ、組合が存在したか否か、です。
この勝利判決から願うこと
私達3名は早期に職場復帰をし、普通の生活を取り戻し、平和に暮らしたいと思っています。またエミレーツ航空はじめ、外資系企業には、日本の法律を理解し遵守するべきだということを学んでもらい、パワハラや長時間労働に苦しんでいる労働者には、勇気と希望を持ってもらえれば、なお素晴らしい勝利になると思っています。
今後の活動に不可欠なのは、今までやってきている宣伝活動のみならず、深くベールに包まれたエミレーツ航空の本社にどうやって私達の声や活動を届けるか、ということです。国会議員の代表質問、在日UAE大使館から忠告、ILO勧告などの協力要請を、可能ならばやっていきたいと考えます。これからも、3名の職場復帰までの本当の勝利まで皆様の温かいご支援を、よろしくお願い致します。