民主法律時報

Q:組織改廃で分限免職?

Q:条例案では、組織改廃によって過員が生じたときは、分限免職されるものとして、その手続を定めていますが、このような分限免職は違法ではないでしょうか。

 職員基本条例案33条1項では、「職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じたときは、職員の分限免職を行う」と定め、組織改廃によって職員が余ったら分限免職すると定め、「配置転換が容易である場合は、配置転換の努力を尽くさなければならない」が(同条4項)、「配置転換の努力に際しては、安易な職種転換をしてはならない。職種転換を行う場合には、外部からの採用と同等の競争環境を確保しなければならない」と定めています(5項)。
確かに、地方公務員28条1項4号は、職員をその意に反しても免職できる事由として「職制もしくは定数の改廃または予算の減少により廃職または過員を生じた場合」を挙げ、同条3項は「職員の意に反する…免職…の手続及び効果は、…条例で定めなければならない」としており、職員基本条例でその手続を定めることは何ら問題がないようにも思えます。
 しかし、地方公務員法第27条は「職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、その意に反して、…免職されず」と定められています。そして同法28条1項はあくまでも「免職することができる」と定めているにすぎません。つまり、法定の事由がある場合であっても必ず免職処分を行わなければならないものではありません。あくまで任命権者が諸般の事情を考慮して、公正に判断して、処分を行うのが適当であると認めた場合に限って免職処分を行うことができるのです。
 そのため、職員基本条例案33条の規定は、任命権者が免職しないと選択する余地をなくし、地方公務員法27条の要件より厳しい免職要件を定めるものであり、同条に違反するといえます。
 また、そもそも地方公務員法28条1項4号による分限免職は、免職対象者に何らの落ち度がないにもかかわらず、その職を失わせ、生活の糧を奪うものですから、民間同様の解雇回避努力をなした上で、分限免職を行わなければなりません。職員基本条例案16条のように、職員定数の削減というノルマを条例で定めた上で実施するようなものではありません。
 また、職員基本条例案では、「職員の給与は、…民間の同一職種又は相当する職種と同じ水準とする。」(13条2項)と定め、公務員の待遇を民間並みにというスローガンを掲げています。それならば、民間企業で妥当する解雇規制も公務員に及ぼし、配置転換や職種転換などの解雇回避努力を行った上でなおやむを得ない場合にだけ整理解雇(分限免職)を行うのがスジではないでしょうか。

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