Q:条例案では、人事評価で2年連続して最低の評価となった職員に「特別研修」を受講させ、なお改善されない場合には、免職することとされていますが、どのような問題があるでしょうか。
A:条例案では、人事評価が2回連続して、最低の評価であるDであった職員を免職すると定めていますが、この人事評価は「発揮した能力」や「挙げた業績」などを基準に5段階の相対評価で行われるため、必ず下位5%のD評価の職員を定めなければなりません。
このような徹底した相対評価が実施されることになれば、職員は、免職をおそれて、最低評価をつけられないように、他の職員との競争を強いられることになります。そうすると、職員は、「全体の奉仕者」として住民サービス実現を目指すだけの時間的及び精神的余裕が奪われることになります。しかも、公務員の仕事は、職員が互いに協力してより良い住民サービスを実現することにあるところ、職員間での競争を強いられることにより、職員は、競争相手である他の職員と協力して住民サービスにあたることも困難になります。
また、このような相対評価による人事評価を徹底すれば、労働能率が劣り、向上の見込みがないとまではいえないにもかかわらず、「特別研修」を受講させられることになります。しかも、この「特別研修」は、教員の免職を検討するためのものにすぎません。
そして、その職員が免職されれば、次の年度からは、また職員らが、最低評価をつけられないように競争を開始し、2年連続最低評価とされた職員が免職されることが繰り返されます。
さらに、人事評価の基準となる「発揮した能力」や「挙げた業績」などは成果主義を過度に強調するものでもありますが、成果主義がなじまないという公務の性質を看過するものであります。
このような相対評価の徹底により、人事評価で2年連続して最低評価となった職員を免職とすることは、職員に過度の成果主義を求めるとともに、職員間に過度の競争をあおるもので、より良い住民サービスの実現をも困難にするという大きな問題点をはらんだものであります。