第1分科会 裁判・労働委員会の闘い方を掘り下げる
大阪争議団共闘会議 吉岡 雅史
1 各1時間の3部構成とし、参加者は43人でした。
2 第1部「判決・命令の履行」ではまず、6年8カ月に及ぶ争議の結果、職場復帰を勝ち取ったエミレーツ航空労組の水岡司さんに体験談を語ってもらいました。ラグビーW杯日本開催に便乗して花園ラグビー場前でアピールするなど、世界に向けて発信し続けた宣伝行動が功を奏しました。いざ職場復帰してみれば社内の拒絶反応は激しく「今も嫌な思いはたくさんしている」と吐露。それでも解雇当時3人だった労組が、別組織ながら過半数を占めるまで拡大。一部社員から「頑張ってくれたから今の僕たちがある」と感謝されたことを、誇らしげに明かしてくれました。アクアライン事件の代理人西川裕也弁護士には、未払い賃金の案件を中心に話をしてもらいました。地裁判決直前に会社側が自己破産。しかし、組合員の生の声を聞いてもらうよう働きかけたことで「管財人に味方になってもらえた」。最終的に最大限の補償を受けられ、あきらめずに活動することの重要性を強調しました。
3 第2部は、「羽衣学園事件」の近況を中西基弁護士と関西私大教連の紅露和裕副委員長が報告しました。大阪高裁で逆転勝訴したものの、最高裁が差し戻し。最高裁が「政治的な判断をする」と痛感し、この判断が全国に波及する危険性を指摘しました。現在は和解勧奨の可能性を視野に入れつつも「勝ち目は十分ある」としています。また、大阪大学雇い止め事件の原告がフロア発言。非常勤講師が100人規模で雇い止めにされ、うち4人が無効を求めたこの裁判は2025年1月に訴えが棄却されました。阪大では従来、非常勤の勤務上限はなかったのに、「一方的に10年の上限をつけてきた」とのこと。原告は「阪大が書いたのではと思うような判決だった」と、口惜しさをにじませました。
4 「労働組合の活性化」をテーマにした第3部では、新聞労連近畿地連調査部長の伊藤明弘さんに話を伺いました。労基研報告に関しては「労使対等でないと話にならない」と一刀両断。その上で、各執行部は1年任期が多く「素人のまま職場に戻ってしまう。そこに会社が付け込んで、労組が弱体化していく」と風潮に警鐘を鳴らしました。さらに徳島新聞の記者部門分社化問題に言及。別会社ゆえ給与を65パーセントにカットする方針に「働く権利が蹂躙されている」と怒りをあらわに。その一方で、特に若手組合員が危機感を持ち、単組が活気づいている現状を報告しました。
5 質疑応答では、和解での口外禁止条項の理不尽さを訴える発言も飛び出すなど、例年以上に熱のこもった分科会となりました。
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