民主法律時報

大阪大学非常勤講師雇止め事件について―裁判・府労委委員会「例会」―

 大阪労連豊能地区協議会 遠近 照雄

11月13日、18時30分よりエル・おおさか会議室にて裁判・府労委委員会「例会」が開催され、15人が参加しました。

開会にあたり、原野早知子弁護士より裁判・府労委委員会「例会」では、主に係争中の労働事件や判決について原告や代理人から報告、参加者で議論・検討し、今後の運動、取り組みにつながるような場として定例で開催している。今回は、判決を目前に控えている大阪大学非常勤講師雇止め事件(原告4人)について代理人、原告から報告を受けた後、「参加の皆さんと一緒に意見交換したい」との挨拶に続き、弁護団の中村和雄弁護士が、裁判の経過、請求の内容(原告らは現在も被告の非常勤講師としての地位を有する)、争点、事実経過等についてレジュメをもとに報告されました。詳細については長文が避けられないので、私が思うところを述べます。大阪大学側が主張する「準委任契約」で「労働者ではない」と言っていますが、労働契約であった旧大阪外国語大学時代の就労実態、統合後の2022年度から労働契約への変更後も何ら非常勤講師の就労の実態が変わっていないことから、大学側の主張は矛盾していると感じました。裁判所が契約の形式ではなく、非常勤講師の勤務・就労実態から「労働者」と判断するか否かが問われている裁判だなと感じました。また、5年、10年上限で雇止めを強行するのは無期転換逃れの脱法行為と言わざるを得ないと思います。

中村和雄弁護士は、羽衣学園事件における最高裁判断(高裁差戻)については争点から影響しないと考えるが、権利討論集会でだされた地民5部の判決分析で労働者側が勝っていない状況をみると油断できない、してはいけないとも述べられました。原告からは、定例で行っている月1回の阪大前での宣伝に、4月、阪大職員が施設管理権をたてに介入を行ってきたことや、阪大職員も5年で雇止め・解雇されている実態、阪大の運営サイドの悪質さや問題等を告発、訴えられました。弁護団の中西基弁護士からは、労働法の適用を免れる働き方が広がっている状況で負けられない裁判であると表明されました。判決は、2025年1月30日にだされる予定です。大阪大学の違法・脱法行為を許さず、勝利判決を勝ち取るため、引き続きの皆さまのご支援をお願いいたします。

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