民主法律時報

不利益変更は本人同意の中身が大切 ―第4回労働相談学習会 「労働条件の不利益変更に関わる相談への対応」―

おおさか労働相談センター 事務局次長  宮崎 徹

8月8日(木)に国労大阪会館にて川村遼平氏(弁護士 古川・片田総合法律事務所)を講師に招き、「労働条件の不利益変更に関わる相談への対応」をテーマに第4回労働相談学習会を開催、5産別、8地域組織から計32名の参加がありました。

主催者挨拶では川辺所長から「労働条件の一方的な不利益変更を跳ね返すため法律や判例、労働組合の経験をしっかり学び、今後の相談活動に活かそう」と学習の意義が語られ、民法協事務局次長の冨田真平弁護士(きづがわ共同法律事務所)からは、本年5月からの7月までのハラスメントや過労自殺に関わる労災認定や裁判などについて情勢報告が行われました。

学習会では、まず労働契約は当事者である使用者と労働者が対等の立場に基づいて締結し、または変更すべきものであること(労働契約法3条1項)が原則だが「労使対等」は極めて困難と言わざるをえないことが指摘されました。「求人広告の内容と採用後の労働条件が違い、低水準な条件」という相談が多く寄せられますが、求人広告は採用申込みではなくその募集(「誘引」)に過ぎないとする説もある一方で、募集広告は契約内容と同じとする判決(つまり労働者側勝訴)も多くあることが紹介され、決してあきらめないことが大事とされました。

入社後の労働条件変更や就業規則の作成・改定による不利益変更に関しても、個別の変更合意による場合は「原則、両者の合意によって(法律違反にならない範囲で)自由に変更してよい」(労働契約法8条)とされているが、本当に「同意」があるかが重要で、変更の客観的必要性や理由が労働者に十分な説明されていたか、質問・発言の機会の有無など協議のあり方だけでなく、当該労働者が自由な意思に基づいて合意したと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するかという観点からも判断されるべきものとして最高裁 による山形県民信用組合事件判決の内容が示されました。その他、労働協約の締結がある場合や会社の裁量権が認められやすい配転や出向などについての説明がありました。 参加組織からの不利益変更に関わる事例報告や質問なども活発に出され、今後の相談活動に役立つ学習会となりました。

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