民主法律時報

「過労死・ハラスメント労災110番」のご報告

弁護士 吉 留 慧

2024年6月15日(土)、「過労死ハラスメント労災110番」が実施されました。

本年度は、運送業・建設業・医師についての労働時間上限規制の適用が始まる、いわゆる2024年問題が大きな注目を集めています。また、職場におけるハラスメントに関する相談もあとをたちません。このような情勢の下、過労死110番全国ネットの主催で、全国35カ所で全国一斉電話相談が実施され、大阪は大阪過労死問題連絡会の弁護士12名が対応しました。報道の影響もあり、全国では215件の労働相談に対応することが出来ました。

相談内容としては、ハラスメントに関する相談が多く、補償に関する相談は減少傾向にありました。具体的な相談としては、警備会社勤務の従業員が、月に70~80時間の時間外勤務にさらされた結果脳出血を発症し、現在休職中であるが、休職期間の満了によって解雇されるのではないかといった相談や、職場の同僚から椅子を蹴られる・無視されるといった対応を受けている、上司に相談するも何も対応してもらえないという相談がありました。

また、今回の相談の特徴として、本人からのみではなく家族からの相談も多く、飲食店勤務の夫が午前9時から午後10時までの長時間労働を強いられており、現状体調に異常はないが今後が心配であるといった相談や、子供が午前8時頃に出社し、午後10時頃に帰宅しており労働環境に問題がないか心配であるといった相談もありました。

大阪では、労災補償に関する相談が3件、ハラスメント・過重労働に関する相談が12件、その他の相談が8件、計23件の電話相談を受け付けました。小規模のバス会社勤務の方が上司から「死んでしまえ」「会社の役に立たない」等の暴言を受け、うつ病を発症した事案や、上司から2~4時間の間理詰めで叱責を受け続けるロジハラを受けた事案の相談がありました。

相談内容の特徴としては、労災補償よりもハラスメントや労働条件についての相談が多くみられました。民法協では、毎週金曜日(18時~20時)に常設ホットラインを実施しているほか、メールでの相談予約も受け付けています。これからも社会情勢を見ながら、時期に即した相談体制を構築し、労働者の方々のお力になれるように尽力していきたいと思います。

 

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