民主法律時報

6月開催「ブラック企業対策!労働判例ゼミ」

弁護士 片 桐 誠 二 郎

6月17日(月)に、「ブラック企業対策!労働判例ゼミ」を開催いたしました。今回のテーマは、「本採用拒否と試用期間中の解雇」です。試用期間制度を採用する会社の多くは試用期間を3か月としており、本年4月入社の方は本採用拒否が問題となり得る時期ですので、本テーマを取り上げました。

検討裁判例は、①ニッセイ電気事件・東京高裁昭和50年3月27日判決(江藤弁護士)、②ライトスタッフ事件・東京地裁平成24年8月23日判決(筆者)、③空調服事件・東京高裁平成28年8月3日判決(南弁護士)です(括弧内は報告者)。試用期間中の解雇を無効とした事例(①)、本採用拒否について有効と判断した事例(②)、無効と判断した事例(③)を選びました。なお、③は、新入会員である南晴彦先生に早速ご報告いただきました。

試用期間については、皆様もご存じのとおり、三菱樹脂事件判決(最高裁大法廷昭和48年12月12日)が、解約留保権の行使につき、通常の解雇の場合よりも広い範囲における解雇の自由が認められてしかるべきである、としています。しかし、近年は本採用拒否の場合であっても通常の解雇の場合と比べてそれほど緩やかには判断されない傾向があることが指摘されており、検討裁判例②もその傾向の中に位置づけられるものであること、他方で、裁判例③の控訴審判断にはやや疑問が残るものであることなどを参加者間で確認しました。今回も、裁判例の検討や及び中堅・ベテラン弁護士の体験談などを通して、試用期間の法理と現在の傾向、具体的な判断の相場感を掴むことができ、大変有意義なゼミとなりました。

次回は、8月19日(月)午後6時から開催いたします(ZOOM併用)。今回は参加者が10名と前回よりも少なく、少しばかり寂しいゼミになりましたので、ご都合がよろしければ、是非ともご参加をお願いいたします。

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