民主法律時報

ハラスメント学習会を開催しました 民主法律協会主催 ハラスメント学習会「パワハラの加害者・被害者にならないために」

弁護士 吉 村 友 香

 2024年6月6日に「パワハラの加害者・被害者にならないために」というテーマでハラスメント学習会が開催され、会員弁護士・会員組合・会員団体から計30名が参加しました。

民法協では、ハラスメントについての学習会として、2022年5月にハラスメント防止法学習会、2023年権利討論集会でのハラスメント分科会、2023年6月にセクハラ研修を開催しました。今回の学習会では、パワハラの基礎知識を身につけて、参加者でグループワーク事例を題材にディスカッションをしながら、職場におけるパワハラ撲滅のために何ができるかについて学びました。

 当日は、講師の冨田真平弁護士から、パワーハラスメントとは何か、パワーハラスメントの類型などについて解説がなされました。パワハラ指針は、パワハラの6つの類型を定め、事業主に対して、①事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発、②相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、③職場におけるパワハラに係る事後の迅速かつ適切な対応などを講じるよう定めており、これらの指針の定めは、労働者や労働組合が使用者と交渉する際に積極的に活用することが重要です。

もっとも、パワハラ指針は、パワハラの定義を限定的に解釈し、加害者・使用者の弁解カタログとも言えるような「パワハラに該当しない例」を掲載するため、パワハラを許容しかねない危険性も有しています。職場におけるあらゆるハラスメントを禁止し、包括的に規制するハラスメント防止法の制定が必要であると痛感しました。

 その後、4つのグループに分かれて、事例に基づくグループディスカッションが行われました。ディスカッションでは、「これは絶対にアウト!」「こういう状況であればパワハラにあたる(あたらない)のでは?」「こういう趣旨・態様での叱責ならセーフでは?」「こういった配慮があれば、この言動もセーフだったかも」など様々な意見が飛び交い、活発な議論が行われました。具体的な事例に照らして議論することで大変勉強になりました。

 ハラスメントの加害者・被害者とならないためには、まずはハラスメントについて学ぶことが不可欠です。今後もハラスメントについての学習会を定期的に開催し、社会からのハラスメント撲滅、会員内におけるハラスメントの防止に向けての提言を続けていけたらと思います。

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