民主法律時報

第1回労働相談学習会「ダブルワークに関する労働相談について」

 おおさか労働相談センター 事務局次長 宮崎 徹

2023年11月30日に「第1回労働相談学習会」を国労大阪会館で開催、8産別、3地域組織、弁護士などから32名の参加がありました。

主催者あいさつでは川辺所長が「近年、ダブルワークについての相談が寄せられている。もともと経営者側は兼業禁止を強調していたが、短時間の非正規労働者を多く雇用する中で認めざるを得なくなった。国はこれを追認する形で法整備を進めてきた。本日の学習内容を日頃の相談活動に活かそう」と挨拶。

労働情勢報告では民法協事務局次長の冨田弁護士が本年7月から11月中旬までの労働事件の判例や訴訟の動向を報告しました。

「ダブルワークに関する労働相談について」の学習は、北大阪総合法律事務所の西川翔大弁護士が担当、政府のダブルワーク推奨の動き、ダブルワークのメリットと留意点、労働時間管理と割増賃金についての解説が行われました。特に労働時間の計算方法や割増賃金、ダブルワークを行う上での必要な手続き等については事例や資料を基に丁寧な解説が行われました。その他、労災補償や社会保険の加入・支給条件等の解説と相談時の留意点等が解説されました。

労働相談センターの舛田相談員から「今日の集会前にダブルワークに関する相談があったが、学習会のレジュメを基に対応できて相談者も納得してくれた」と細かな点まで触れている学習内容についての感想が寄せられるなど、参加者は一様に納得の表情を示していました。

【質問:ダブルワーク時の雇用保険についての回答】
* 65歳未満の場合
①A社の週の所定労働時間が20時間を超える場合は、A社のもとで加入することになります。
②A社もB社も週の所定労働時間が20時間を超える場合には、雇用保険法業務取扱要領20352により、給与金額が多い方の事業所で加入することになり、その事業主と保険料を負担することになります。
③2社とも週の所定労働時間が20時間未満の場合は、雇用保険に加入することができません
* 65歳以上の場合、マルチジョブホルダー制度が利用でき、上記③の場合でも2社の週の所定労働時間合計が20時間を超えれば、労働者がハローワークに申し出ることで雇用保険に加入できます。仮に3社以上で勤務の時は、労働者が2社を選択することになります。
保険料は、2社からの賃金総額をもとに計算され、事業所負担分はそれぞれの事業主が賃金額に応じて支払うことになります。

詳しくは厚労省HP「Q&A~雇用保険マルチジョブホルダー制度~」を参照。

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