弁護士 青 木 克 也
2023年12月2日午後、日本労働弁護団主催の「フリーランス労働問題全国一斉ホットライン」が各地で実施され、大阪でも民主法律協会と大阪労働者弁護団の2団体が共同で相談対応に当たりました。
フリーランスは、客観的な就業実態等から労働者に当たると認められれば、労働法による保護を受けることができますし、事業者としての立場を前提としても、民法、下請法、独占禁止法などによる保護を受けられる場合があります。なお、遅くとも2024年秋までに、いわゆるフリーランス保護新法も施行される見込みです。
労働者(特に、労働基準法等の個別的労働関係法上の労働者)に当たると認められれば、労働時間や賃金に関する労働基準法の規定が適用されるほか、取引相手からの契約解除は「解雇」として規制を受け、業務上の負傷・疾病の場合には自己負担なく労災補償を受けることもできます。
今回、大阪会場に寄せられた相談には、「就業や取引のルールが書面化されず、発注者(会社)にいいように決められてしまう」、「いったん委託された仕事を一方的に取り消された」、「報酬が年々下げられて生活が苦しくなっている」、「業務の遂行について発注者から細かい指示を受けており、自分は労働者に当たるのではないかと思う」といったように、フリーランスの立場の弱さを浮き彫りにするような内容が含まれていました。
また、インターネット上で仕事が割り振られるため、同じ会社に役務を提供する他のフリーランスと会う機会もなく、集団での行動は難しいという相談があった一方、「全国にいる同じ立場の人たちと労働組合を結成することにしたので、アドバイスが欲しい」という非常に前向きな相談もありました。フリーランスの連帯や組織化は、労働者についてと同様、今後も重要な課題です。
反省点は、事前の広報活動が十分にできず、大阪会場に寄せられた相談が全部で3件にとどまったことです。2日前に大阪司法記者クラブで実施した記者レクには、新聞社・通信社計4社の参加があり、新聞報道を見て相談を寄せられた方もいらっしゃいましたが、テレビやインターネット上で報道がされなかったこともあり、相談件数が伸び悩みました。今後はさらに成果の大きな相談会を実施できるよう、入念な準備を行ってまいりたいと思います。