民主法律時報

「加害者」「被害者」にならないためのセクハラ研修を実施

弁護士 冨 田 真 平

 6月22日に「加害者」「被害者」にならないためのセクハラ研修が開催され、会員弁護士・労働組合員など34名が参加した。

民法協では、ハラスメントについての学習会として、昨年5月にパワハラについての学習会、本年の権利討論集会においてハラスメント分科会を開催した。今回の研修は、昨今セクハラに関する相談が増加していることや弁護士などによるセクハラ事件が起きたことも受けて、セクハラに関する相談に対応できるようになるのみならず、自らが加害者・被害者、そして傍観者にならないためにセクハラについて学習してもらうことを目的に企画されたものである。

 当日は、司会の脇山美春弁護士より今回の企画の趣旨についての説明が行われた上で、講師の有村とく子弁護士から、どのような言動がセクハラに当たるのか、セクハラの問題性とその背景や影響などのセクハラについての基本的な知識や、セクハラ被害に遭ったときの対応方法、セクハラを防止するために必要なことなどについての解説をいただいた。

特に、どのような言動がセクハラにあたるのかについての具体的な言動に照らした詳細な解説、セクハラの背景について今なお残るジェンダーバイアスや「No」と言わないことが「Yes」を意味するものではないことについての無理解などがあることの指摘、セクハラ、マタハラ、パワハラは重なり合う部分も多くセクハラがパワハラに転化することも多いという実態などの改めて大変勉強になる内容であった。

 その後、各班に分かれて、架空の事例に基づくグループディスカッションが行われた。同事例は、法律事務所における男性弁護士の女性事務員に対する言動を問題にしたものであり、そもそもの業務指示の行い方やその中での言動、食事に誘うやりとり、食事の場での言動、相談を受けた別の事務員(事務局長)の対応、事務所としての対応などさまざまな点について、各班で議論が行われた。特に、それぞれの言動がセクハラに当たるか否か、相談を受けた事務員や事務所がとるべき対応、そもそもの事務所の体制などに活発な議論が行われた。

具体的な事例に照らして考え、そして様々な観点からの意見を知ることで、大変勉強になった。

 最後に西川大史事務局長から、今回の研修を受けて、各組織に学んだことを持ち帰るとともに、セクハラなどのハラスメントについての学習会を(民法協から講師を派遣するので)ぜひ実施してもらいたい旨の案内もあった。

今回の企画やこれまでのハラスメントの学習会等を通じて、今後もハラスメントについての様々な学習会を定期的に行うことで、ハラスメントについての学習・意識づけを行い、ハラスメントを防止していくことが重要であると感じた。

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