弁護士 川 村 遼 平
●36回目の過労死110番
6月17日、今年で36回目となる過労死110番(過労死・ハラスメント労災110番)を実施しました。
当日は民主法律協会の事務所に7名の弁護士が集まり、大阪府内外からの電話相談を受け付けました。事前の新聞報道のほか、MBSの昼のニュースでも報道され、午後の時間帯に電話が集中しました。
●相談件数
合計29件の相談が寄せられました。内訳は、①労災補償に関する相談が3件、②ハラスメントや過重労働に関する相談が13件、③その他の労働相談が10件、④その他が4件でした。労災については、過重労働に関するものだけではなく、腰痛・ヘルニアなどの一般の労働災害に関する相談も寄せられました。
●相談の概要
過重労働に関する相談として、教員やドライバーからの電話が複数ありました。やはり教育・運輸業界に過重労働が蔓延していることがうかがわれる一方、教員の過重労働が社会問題として広く認知されるようになったことも教員の方から複数の相談があったことの一因になっているのではないかと思われます。
まだ具体的な健康被害が生じていないケースでも、全く残業代が出ない状態でほとんど休日無しに毎日長時間働いているためにいつまで体がもつかわからないという方の相談や、これまで毎月帰省していた子どもが休めなくなったと言って帰省しなくなったので心配しているという親御さんからの相談が寄せられたことが印象に残りました。本人や近親者に生命・健康の懸念を生じさせるような働かせ方は是正されるべきですが、直ちに弁護士が関与することも容易ではなく、もどかしさを感じました。
●全国の相談件数
過労死110番は全国一斉に実施されており、全国では224件(うち労災補償に関する相談が33件、更にうち死亡災害が7件)の相談が寄せられました。