弁護士 髙 橋 早 苗
2022年11月19日、20日に第67回はたらく女性の中央集会が開催されました。同集会は、毎年女性労働者や女性団体が共同して女性のはたらく権利やくらし・労働条件の改善、平和・ジェンダー平等の実現、女性の地位向上等を目指して学習・交流・討論をしている集会です。今年は大阪(エル・おおさか)で開催され、現地とオンライン併せて721人(全体会467人、分科会254人)の参加がありました。
1日目の記念講演では、室蘭工業大学大学院の清末愛砂教授より「平和とジェンダー正義を求めて」とのテーマで憲法24条の平和主義的価値について講演が行われました。講演では、平和的生存権をうたう憲法前文にいう「恐怖や欠乏」には、戦争や武力行使だけでなくジェンダーに基づく暴力から生じる恐怖や差別、貧困等も含まれる、家制度を否定した憲法24条は軍事組織の否定にもつながる等の説明があり、護憲・平和運動の関係者の間でも憲法24条の存在がそれほど認識されていない、ジェンダー意識の低さといった問題点も指摘されました。そして、戦争や武力行使に向かわない非暴力的な社会を構成するためには、暴力・支配に依拠しない個人を育成することが重要でありそれを保障するのが憲法 条であること、自分の日常生活において関係する人との間に非暴力的な関係を構築できるかにかかっているとの先生の言葉は、強く共感するとともに平和主義の観点から 条を捉えることの必要性、重要性を学んだ講演でした。
2日目は4つの分科会と2つの見学分科会が実施され、私は第2分科会に参加しました。第2分科会は、「自立して生きたい~どんな働き方でも女性が自立できる賃金、税と社会保障のあり方~」とのテーマで大阪社会保障推進協議会事務局長・一般社団法人シンママ大阪応援団代表理事の寺内順子さんから講演があり、その後各団体からの発言・討論が実施されました。各団体からは、賃金、働くルール、社会保障、教育・子育て等について具体的に目指すべき内容がパンフレットとあわせて紹介されたり(今後の指針として大変参考になる内容でした)、不当解雇を乗り越え職場復帰したとの素晴らしい報告とあわせ、なおも職場で起こっている差別や差別による低賃金の実態が報告されるなど、各団体から各労働現場の実態と課題が報告されました。会場からも自らの職場で女性が置かれている現状についての発言がなされるなど活発な議論がなされました。
今回初めて参加したはたらく女性の中央集会でしたが、普段あまり聞くことのできない職種の方も含め働く女性が置かれている現状を知ることができ、今後の取組みに必要な視点も学べた大変有意義な集会でした。また、全国で多くのはたらく女性が労働環境や待遇の改善のために日々取り組まれていることが実感でき励みになりました。来年のはたらく女性の中央集会は長野県で開催されますので、興味を持たれた方はぜひご参加ください。