民主法律時報

「コロナ労災・過重労働・過労死110番」を実施

弁護士 吉留  慧

2021年6月19日(土)10時から15時、「コロナ労災・過重労働・過労死110番」が実施されました。

新型コロナウイルスの影響は、治まる気配を見せず、医療・保育・公務員・配送等過重労働が極めて深刻な職場が生まれています。また、職場におけるハラスメントもあとをたちません。このような情勢の下、過労死110番全国ネットの主催で、全国34カ所で全国一斉電話相談が実施され、大阪は大阪過労死問題連絡会の弁護士8名が対応しました。今年は初の試みとして、全国統一フリーダイヤルによる一斉相談を行いました。

報道の影響もあり、全国では127件の労働相談に対応することが出来ました。

全国に寄せられた相談では、コロナ関連の労働相談としては、公務員の方からの相談が多く、長時間残業により体調を崩し、辞職を考えているという方や、120時間以上の残業を強いられ、休みを取ることも許されないという方もおられました。緊急事態宣言等の実施により、感染者数は減少しているとはいえ、一日の感染者数が千人を超える状況が続いています。地域保健を支える保健所職員は、地域住民や地域の医療機関からの電話相談への対応、陽性者の入院・療養の調整、陽性者の行動調査と接触者の把握、接触者の検査の調整や健康観察など、膨大かつ多様な業務を抱えており、過重な負担がかかっているという現状が浮き彫りになりました。

コロナに関連するその他の相談としては、コロナワクチンを打ちたくないが、職場で「なぜ打たないのか」と言われている、ワクチンを打つかどうかは自由ではないのかという相談がありました。新型コロナウイルスにより、業務に関するもの以外にも多様な労働問題が発生していることがわかりました。

大阪では、労災補償に関する相談が2件、ハラスメント・過重労働に関する相談が10件、その他の相談が7件、計19件の電話相談を受け付けました。

例えば、国家公務員の息子が、1ヶ月180時間程度の残業を強いられており、産業医面談を希望したが、順番待ちの状態で受診することが出来ないといった相談がありました。また、コロナ後、リモート勤務となり、元来残業がなかったが、50時間から60時間の残業をするようになり、抑うつ状態と診断され、現在休職中であるという相談がありました。

厚労省の発表によると、新型コロナウイルスの影響による解雇者数は、令和3年6月25日時点で、10万人を超えており、実数はより大きいものと考えられます。現在に至るまで、新型コロナウイルスの感染拡大は収束に至っておらず、労働者への影響が今後も持続していくことが予測されます。

民法協では、毎週金曜日(18時~20時)に常設ホットラインを実施しているほか、メールでの相談予約も受け付けています。
これからも社会情勢を見ながら、時期に即した相談体制を構築し、労働者の方々のお力になれるように尽力していきたいと思います。

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