弁護士 藤井 恭子
新型コロナウイルス感染拡大に伴って、休業や倒産など企業の活動が打撃を被る中、労働者にも休業や解雇などの問題が多発しています。
民法協は、2020年7月12日、日本労働弁護団の呼びかけに応じ、4月5日の第一弾に続いて、新型コロナ労働問題全国一斉ホットライン第2弾を開設しました。
全国で出された緊急事態宣言が6月末に解除された直後であり、また報道の影響もあって、10時から17時までの開設時間中は、電話が鳴りっぱなしの状態となりました。
結果的に、47件の労働相談に対応することができました。
多かった相談は、休業・休暇に関する相談と賃金に関する相談(26件)で、緊急事態宣言中の、休業中の賃金に関するトラブルが解決されずに残されていたものと思われます。
ホットライン直前に発表されたばかりの休業支援金制度に関する問い合わせも複数ありました。
労働契約終了に関する相談(正規・非正規両方、退職勧奨に関する相談も含む)も15件あり、7月の時点でも、コロナによる解雇が増えてきていたことが分かります。
相談者の雇用形態は、パート・アルバイト・派遣・契約社員といった非正規労働者が、49件中33件と最も多くありました。
今回の非常時にあたって、非正規労働者が雇用の調整弁として機能させられ、多くのしわ寄せを受けてしまっていることが明らかになりました。
フリーランスや個人事業者からの、生活に困窮しているという相談も多くあり、生活保護などの福祉につなげなければならない人もありました。
厚労省によれば、新型コロナウイルスの影響による解雇者数は、5月以降、主に非正規労働者を中心に、毎月約1万人のペースで増え続けており、9月1日時点で5万人を超えたと報道されています。8月21~28日の集計によれば、6割超が非正規であり、非正規労働者に対する影響の深刻さが浮き彫りになっています。
厚労省が把握している数字は一部であり、実数はもっと大きいと考えられ、労働問題が拡大していることが明らかになっています。
現在に至るまで、新型コロナウイルスの感染拡大が収束しておらず、休業・解雇など労働者への影響が、今後も持続していくことが予想されます。
民法協では、毎週金曜日に常設ホットラインを開設するほか、メールでも相談の受付を行っています。
これからも、コロナと社会の状況を見ながら、時期に即した相談体制を構築し、待ったなしの労働相談に対応していきたいと思います。