民主法律時報

第4回労働相談懇談会「雇用によらない働き方」報告

おおさか労働相談センター 舛田 佳代子

2019年8月2日(金)、国労大阪会館で第4回労働相談懇談会を開催、西念京祐弁護士を講師に「雇用によらない働き方」について、労働法制や独占禁止法による保護など基礎的な学習を行いました。3つの産別組織、7つの地域組織の組合員と、弁護士や研究者、学生など32名の参加がありました。

冒頭、川辺所長は「『雇用によらない働き方』は労働法制の改悪の中でこれから大きな問題となってくるだろう。今日の学習を今後の相談活動や組合活動に生かしていきたい」とあいさつしました。

学習会で西念弁護士は、「雇用によらない働き方」を新しい時代に応じた自由な働き方と持ち上げながら、雇用労働者を非雇用に置き換え、雇用責任を負わないまま安く使い、いらなくなったら解雇規制に縛られず切り捨てを可能にすると、その実態と問題点を指摘。フリーランスやマッチングサイト等で働く労働者の実態を明らかにした上で、このような働き方をする労働者からの相談では、契約の形式だけでなく働き方の実態から労働者かどうかを判断することが大事であると強調されました。

また労基法上の「労働者性」までは認められない場合でも、労組法上の労働者として、団体交渉で地位の向上などを図ることができるとして、ウーバーイーツの配達員や公文の指導者が、労働組合を結成して団体交渉を求める活動を紹介、集団化、組織化できるならば組合を結成して問題を表に出すことも必要だと問題提起されました。

さらに、公正取引委員会内部の検討会報告(2018年)で、公正取引委員会も労働法と独占禁止法を活用して、「雇用によらない働き方」をする労働者の保護を図ろうとしていることを取り上げ、画期的だと評価されました。そして「代金の支払い遅延」や「代金の減額要請」「低い対価での取引要請」など独占禁止法が制限する優越的地位の濫用に対して、公正取引委員会への申告・調査請求で、排除措置命令を求める方法などを紹介されました。

終わりに、「中小零細事業主のための独占禁止法研究会」の活動を紹介され、研究者に聞いてみたいことがあればぜひ持ち込んでほしいと締めくくられました。

労働相談においては、労働の実態を見極めること。その上で、労基法や労組法を活用して相談者の問題にあたること。また、独占禁止法の活用も視野に入れ、労働者の保護にあたること。などなど、労働相談活動や労働組合活動について、再確認することが出来た学習会でした。

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