大阪争議団共闘会議 特別幹事 松本 哲夫
2018年12月11日、エル・おおさかにて定例の裁判・府労委委員会が開催され、東大阪市にある運送会社・アクアライン争議について学習しました。
はじめに建交労大阪合同支部・松澤書記長から、アクアライン争議の概要と闘争経過として、オーナー社長によるワンマン経営を改めさせ、従業員が安心して働ける職場にするため 名が建交労に加入して分会を結成したこと、組合結成を嫌悪・敵視した社長が組合員らに対し不当配転、人権侵害、労基法違反、不誠実団交を繰り返してきたことが報告されました。また、社長が賃金から「取次(仲介)料」として5万円を差し引き、労基署から是正勧告を受けたこと。その後弁護士が交代したが、それ以降人権侵害・法律違反が露骨になり、組合の申し入れなど何かあるたびに「不審者がきている」と警察を呼ぶなどをくり返したことが報告されました。
続いて愛須弁護士が裁判の争点と仮処分申立の現状を報告。賃金支払請求事件のでは、①就業規則に定められている精皆勤手当が一度も支払われていない。②賃金の一部控除の支払い請求については、社宅補助としての家賃負担の打ち切り、事故の際の免責負担、賃金の一方的減額、運賃計算のごまかし、一方的な管理費の値上げに対するものがその内容です。
また、地位確認仮処分事件については、分会長の田中さんが「管理監督者ではない、残業代を支払え」と言ったことを捻じ曲げて、会社は「管理職を辞めると言った」として運転職への配転を一方的に命じたが、田中さんは運行管理者からの配置換えを拒否したため賃金が支給されず、5カ月にわたって収入ゼロとなったため申し立てました。しかし、裁判所は第4回審尋期日でそれまでとは態度を変えて「保全の必要性が問題」と言い出しました。そのため、やむをえず配転命令の有効性に異議を留めて、11月7日から運転業務を行うことで、11月5日に和解を受け入れたとのことでした。
報告を受けての質疑・応答では、①田中分会長の運行管理者から運転業務への一方的配置転換は、配転事案ではなく本人同意が必要な職種変更、②解雇の場合は収入が断たれるので仮処分もありだが、田中分会長は運転業務を拒否しているため無収入になっている。地裁5民は裁判官の夏季休暇を理由に進行を遅らせており、早期の判断を怠っている姿勢は問題、③アクアラインも都合が悪くなれば偽装倒産させる可能性も考えられる。アクアラインの別会社である「関西合同サービスセンター」の前歴、財務状況等の調査が必要、④5民の裁判官は何でも知っている訳ではない、経験のない裁判官の場合部長に相談するなど、意見を聞いたりしている。進行協議の初期に仮処分決定の予定だったものが仮処分を認めないとなったのも、内藤部長に相談した結果その意向が反映したものであり、裁判官の独立性が侵されている重大な事態、などの意見が出されました。
この日の報告と質疑・討論を通じて、裁判官の資質と独立性が問われる事例がリアルに出されたことで、労働事件で不当判決を連発している裁判所、とりわけ地裁第5民事部に対する働きかけと運動を、さらに強化しなければという思いを強くしました。