民主法律時報

初夏も… ブラック企業対策! 判例ゼミに学ぶ

弁護士 西田 陽子

1 初夏のゼミ
2018年7月26日(木)も、ブラック企業対策! 判例ゼミが開催されました。今回のお菓子は、淀屋橋の有名パティスリー「ジョエル」のチョコケーキです。
今回は、合格発表待ちの法科大学院修了生も参加してくださいました。テーマは「人事権濫用とパワハラ」。今回は、何と過去最高の19名が参加し、大盛況のゼミでした。

2 ゼミの内容
①JR西日本吹田工場事件(大阪高判平成15年3月27日労判858号154頁)
担当者が来られなくなり、ピンチヒッターで筆者が担当しました。
使用者が、国労組合員らに対し、真夏の炎天下で、日よけのない約1m四方の白線枠内に立って、終日、工場構内踏切横断者の指差し確認状況を監視等」する作業に従事するよう命令した事例です。
人事権濫用によるパワハラの事例ではないのですが、国労の思い出話など飛び出し、盛り上がりました。
②オリンパス事件(東京高判平成23年8月31日労判1035号42頁)
担当は加苅弁護士。営業チームリーダーであった労働者に対し、正当な内部通報を行ったことの制裁として、3回にわたり配転を行い、達成が著しく困難な業務目標を設定して未達成を理由に低評価とする等した事例です。
例によってさすがのクオリティで準備してくれたのですが、そのころの筆者は、チョコケーキをカットしており、発表を聞けませんでした。修習生や法科大学院修了生の方々から積極的な質問があったようです。
③プロクター・&・ギャンブル・ファー・イースト・インク事件(神戸地判平成16年8月31日労判880号52頁)
担当は清水弁護士。退職勧奨を拒否した労働者に対し、自主的に退職するよう追い込む目的で、仕事を与えずもっぱら社内公募による異動先探しのみを行わせて降格させるスペシャル・アサインメントを通告し、新職務に配転した上で降格した事例です。
事実関係が丁寧に調べられており、活発に議論が行われました。
④追い出し部屋事件(平成25年4月25日)
谷弁護士の担当事件。貴重な体験談を聞きました。
退職勧奨を拒否した労働者を「追い出し部屋」(辞めさせたい社員を配置転換で異動させて精神的に追い詰め、自主的退職させるための部署)に配転した事例です。

3 先輩弁護士から後輩へのメッセージ
各発表は、概ね東亜ペイント事件で示された規範に基づいてなされましたが、最後に、ベテランの豊川弁護士やゼミの創始者である中西弁護士から、「判例を乗りえていこう」という熱い激励がありました。

4 今後の日程等について
定例日が奇数月第4木曜に変更となり、次回は9月27日(木)の開催を予定しています。ご参加お待ちしております。

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