おおさか労働相談センター 事務局次長 長岡 佳代子
4月18日、国労会館1Fホールで第2回労働相談懇談会を開催し、8単産、11地域、弁護士、職対連、大学生など45名が参加しました。続所長の挨拶の後、西川大史弁護士が2016年1月~4月の労働情勢報告を行いました。資生堂争議の勝利和解、日本IBM元社員5人の解雇無効判決など21の報告がされ、「賃金や退職金を大幅に減額する場合、形式的な書類への署名押印にとどまらず、労働者への丁寧な説明を求めた山梨県民信用組合の最高裁判決は特に重要」と西川弁護士は話されました。「契約内容をよく確認せずに押印する労働者が多い中、活用できる良い判決が出された」と思いました。
メインの学習会は「労働者派遣法改正後、労働組合はどんな活動をするべきか?」と題して村田浩治弁護士が行い、具体的な団体交渉要求書(試案)も配布していただきました。厚生労働省は昨年9月30日に都道府県労働局長宛に「派遣が臨時的・一時的なものであること、派遣労働が労働コストの削減や雇用責任の回避のために利用されてはならないこと、労働者派遣法の根本原則である常用代替防止は派遣先の常用雇用労働者の雇用の機会が不当に狭められることを防止することを含むこと」などの通達を発しており、「付帯決議にもあるこの建前を大切にして、労働組合は派遣先事業所から回答を求めて欲しい」「事業所は法律の建前を無視した回答はできないので、派遣先労働組合は建前をきちんと守らせる活動が不可欠」と話されました。無期雇用派遣は派遣先の仕事がなくなれば派遣元の整理解雇の対象となる可能性が高く雇用安定が図られるのかは疑問であるとし、「労働組合は正社員化や均等待遇を求めて組織化をはかるチャンスだ」とも話されました。昨年10月1日施行の「みなし規定」制度について「使用者が違法と知らなかった場合は逃れられるが、労働組合が違法と指摘すれば翌日からみなし規定の適用が可能であり、労働者が承諾すれば派遣先事業所との雇用関係が発生する。過去の負けた60の派遣裁判の8割はこのみなし規定で勝てた」と話されました。「違法でなくなっても1年間はみなし規定が適用でき、派遣先事業所が仮に契約関係を切っても1年間はみなし規定が適用できる」とも話され、みなし規定を活用できるように学習する必要性を感じました。
参加者から「3年後、派遣先労働組合は意見を問われる。派遣先労働組合は派遣労働者の意見を聞くようになる。今までできていなかったことで、運動はこれからだ」との意見が出され、今後の労働局の役割についての質問も出されました。村田弁護士は「労働局は『違法かどうかの抵触判断はするが、みなし規定は裁判所が判断する』と言っている」と話されました。「未組織の派遣労働者の場合は、裁判に訴えないとみなし規定は活用できない、大きな一歩ではあるがハードルが高い」と感じました。