弁護士 中 峯 将 文
2014年8月28日、第4回労働相談懇談会が大阪労連労働相談センターと民法協共催で開催されました(参加者約20名)のでご報告いたします。
宮武委員長(大阪労連労働相談センター)から主催者挨拶がなされた後、西川大史弁護士から恒例となっている労働裁判等の情勢報告(2014年6月~同年8月)が行われました。
西川弁護士からは、NHK受信料の集金業務スタッフの労働者性が認められた判決(2014年6月5日)、大阪市の思想調査アンケート問題について不当労働行為と認定した中労委の決定(6月27日)、日本郵便を相手に労働契約法20条違反を主張し正社員との格差是正などを求めて提訴した事件(6月30日)、パワハラを受けたとしてサントリーに対し損害賠償を求めて提訴した事案で290万円もの賠償命令が出た判決(7月31日)、育児休業を理由に昇給させないことを違法として損害賠償を求めた事件について賠償を命じた地裁判決をさらに進め認定額を増額した高裁判決(7月18日)などが紹介されました。この間の情勢を見ると、これまでと流れを一にしており、非正規を巡る事件と精神疾患の事件が多数を占めるとのことでした。
参加者からは、サントリーに対するパワハラはどのような主張立証をして認められたのか、労働相談を受けるにあたって参考にするために知りたい、という質問や、日本郵政に対する裁判の原告の年齢構成について質問が出ました。後者については、若年令層の争議が少ないと感じているという問題意識から出たものでした。
次に、菅野園子弁護士を講師として、会社からの損害賠償を巡る法律問題について学習会が行われました。菅野弁護士から一般的な法律論について説明してもらった後、典型事例や労組側から事前に出してもらった相談事例をもとに参加者で議論が行われました。議論の場では、レジの金額が合わない場合に欠損分を従業員に支払えと言われる事例に対してどう対処すべきか、疾患が原因で仕事のミスをしてしまった事例をもとに、疾患の存在を会社にどこまで言うべきか、などが議論されました。
議論は盛り上がり尽きませんでしたが、労組としては、労働者を働かせて利益を得ている使用者は労働者に求償出来ないのが原則と考えるべきだということが確認されました。
次回は、 月3日午後6時 分から国労会館にて開催される予定です。終了後懇親会も開かれるので、皆さん是非ご参加ください。