民主法律時報

共通番号制(マイナンバー法案)に反対――10.24緊急集会のご報告

弁護士 大 前   治

◆社会保障削減の道具
2012年10月24日、中之島公会堂にて、「マイナンバー法案反対・緊急集会」が開催され、約50人が参加して盛会となりました。
はじめに、自治体情報政策研究所代表の黒田充さんが、「マイナンバー制度のどこが問題か」と題して講演されました。この制度の本質が、新自由主義による構造改革と一体のものとして持ち出され、その行き着くところは社会保障費の削減と、その市場化・営利化にあることが多角的に明らかにされました。特に、小泉内閣時代の「骨太の方針二〇〇一」のなかで、「真に支援が必要な人に対して公平な支援を行うことのできる制度」が唱えられ、その実態は支援の対象を狭めるものであることが、これまでの歴史から解き明かされました。政権交代により民主党政権になりましたが、現在も「税と社会保障の一体改革」の名で、小泉時代と同じく新自由主義路線が継承されていることが指摘され、マイナンバー法案はそれを推し進める重要な道具として利用されることが指摘されました。
このほか黒田氏は、マイナンバー法案(共通番号制度)の問題点についても解説し、国家による情報統制やプライバシー侵害、さらにそれを民間営利企業が「活用」されていることの危険性などを指摘しました。

◆今からでも遅くない、反対の声を広げよう
続いて、坂本団弁護士(日弁連・情報問題対策委員会)が情勢を報告しました。民主党も自民党も法案に賛成しており重大な局面ではあるが、一部報道にも問題点の指摘や危惧が表明されていること、かつて住基ネット問題では法律が制定されてから反対運動が全国的に盛り上がり運用拡大させない成果が上がっていることなどを示し、「今からでも遅くない、反対の声を広げよう」と話されました。
なお、この集会後、衆議院の解散によりマイナンバー法案は廃案となりました。しかし、国会開会後は同法案が再提案・審議されることとなるでしょうから、引続く運動が大切です。皆さんのご協力をお願いいたします。

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