1. 8月27日、民法協第56回総会がエル大阪で行われました。77名の参加でした。
2. 記念講演
総会に先立っての記念講演では、都留民子県立広島大学教授から、「労働者の貧困と社会保障」と題して講演いただきました。貧困を正しく捉えることが必要であること、社会保障を充実させ不安定就業や低賃金就労など中途半端な働き方をなくすことが重要であること、社会保障を獲得する闘争に労働組合が正面から取り組むべきことなどが語られました。
都留教授は、貧困とは「『社会的富』が不平等に分配されることによる経済的窮迫状態であり、そして窮迫から人間の社会的尊厳が損なわれる状況」と述べられ、その要因について、ベヴァリッジの言を引用し、「問題は労働がないことから招かれるのではなく、労働はあるが、それが不適切であるということである」と強調されました。不適切な就労=不安定就労を根絶することが労働者全体の権利と生活擁護につながるという視点は、今後の労働運動にとっても重要なものではないかと思いました。
3. 56回定期総会
総会では、総会議案の報告と討論、活動方針案と予算案の採択、決議の採択、新役員の選出が行われました。活動方針案については、総会特集号を配布しますので参加されていない方も是非ご確認下さい。討論では、現在焦点になっている大阪府の教育基本条例・職員基本条例に関する発言や、原発問題での発言、アスベスト事件ほか事件報告を兼ねての発言などがありました。
総会決議としては、「労働者の雇用安定と均等待遇実現のための有期労働契約規制を求める決議」「労働組合の街宣活動を禁止する仮処分決定に抗議し、街宣活動の自由の保障を求める決議」「日の丸常時掲揚・君が代起立条例の即時廃止と教育基本条例案の撤回を求める決議」の3本の決議が挙げられました。
続いて新度役員の選出を行い、新副会長に出田健一弁護士、新幹事長に城塚健之弁護士、新事務局長に増田尚弁護士、新事務局次長に大前治弁護士、中森俊久弁護士、新事務局に中村里香弁護士がそれぞれ選任されました。
退任は、事務局長の河村学弁護士、事務局次長の有村とく子弁護士、事務局の立野嘉英弁護士、下迫田浩司弁護士の4名です。
4. 諸課題が山積するなか、また新たな年度が始まりました。「平和憲法を擁護し、労働者と勤労者の権利擁護と民主主義の前進を目的とする」(規約2条)という立場を堅持しつつ、情勢に合った、柔軟で、連帯感にあふれた取り組みが求められています。また、昨年の総会でも触れられた「バトンをつなぐ」という見地も重要になってきます。新しい役員体制のもと、多くの個人・団体の参加と共同で、民法協の取り組みをすすめていきましょう。
なお、今総会を期に、民法協のウェブサイトをリニューアルしました。情報収集や活動に生かしてください。
また、「民主法律」総会特集号には、活動方針はもちろん、一年間の重要事件等の特別報告や、労働法制をめぐる動きに関しての資料も掲載しています。総会が終わったら不要になるというものではありませんので、お手元に置いて、今後の学習や活動の参考にしてください。