大阪地方最低賃金審議会 会長 殿
2023年7月19日
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民 主 法 律 協 会
会長 豊川 義明
大阪府の最低賃金大幅引き上げ、時間額1500円以上の早期実現と
全国一律最低賃金制度を求める意見書
第1 申入れの趣旨
1 大阪府の最低賃金を大幅に引き上げ、時間額1500円以上とすること。
2 地域別最低賃金を廃止し、全国・全産業一律最低賃金制を確立すること。
第2 申入れの理由
1 数年にわたるコロナ禍や、過度な円安の進行による物価高騰が、市民生活に強烈な打撃を与え続けている。特に、光熱費や食料品など、生活に不可欠な商品・サービスの値上げ幅が大きく、中・低所得層への影響は深刻である。こうした物価高騰の中でも安定した生活を送るためには、早期の最低賃金の大幅引上げが必須である。
2 大阪府の2022年10月以降の最低賃金は、1023円である。この金額は、1日8時間、週40時間働いても、1か月約17万円程度の収入であり、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を営むことができない。全労連などが取り組む「生計費試算調査(生活実態調査と持ち物財調査)」が、全国各地の都道府県で実施された。大阪では約1万人分の調査で、時給1633円が必要とする結果が出ている。大阪市内で若者が一人暮らしをするためには、男性=月額24万4951円、時間額1633円、女性=月額24万2110円、時間額1614円が必要と示されている。
憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を営むためには、生計費調査が示した時間額1500円以上の最低賃金を実現することが不可欠である。
3 2022年10月以降の最低賃金は、全国加重平均額が961円であり、1000円以上となっているのは未だ東京都(1072円)、神奈川県(1071円)、大阪府(1023円)の3都府県にとどまり、最も低い県(東北・四国・九州地方の計10県)では853円と、依然として大きな差がある。前記の「生計費試算調査」によれば、生活必需品が一通りそろった生活を営むために必要な収入は、都市と地方とでほとんど差異は見られず、どの都道府県でもおおむね1時間あたり1500円を超える収入が必要である。
また、地域別最低賃金の設定は、労働者を最低賃金の低い地域から高い地域に移動させ、地方の経済を衰退させることにもなる。このような観点からも、時間額1500円を超える水準の、全国一律最低賃金の早期確立が不可欠である。
4 日本の最低賃金の伸びが世界に見劣りすることが経済協力開発機構(OECD)の統計で改めて浮き彫りになった。日本の最低賃金の伸び率は、名目・実質とも平均値の3分の1にとどまっている。
世界的な物価高騰で主要国は最低賃金を大幅に引き上げている。しかし、日本は主要国と比べて元々最低賃金が低いにもかかわらず、主要国の引き上げの動きからも大きく離されている。
最低賃金は全国一律1500円以上とすべきである。
以 上