決議・声明・意見書

決議

カジノ誘致計画に反対し、府民本位の政治への転換を求める決議

 大阪府 および大阪市は、 2022年4月26日、カジノを核とする統合型リゾートを誘致するための区域整備計画(「カジノ誘致計画」)の認可を国に申請した。

 カジノは人の不幸を食い物にするものであり、刑法が禁じる賭博そのものである。カジノ導入にともなうギャンブル依存症の問題は看過することができない。厚生労働省の調査でも、ギャンブル依存症の割合は成人の3.6%、約320万人と推計されている。大阪府市のIR 推進局も、カジノ入場者の約2%がギャンブル依存症になると試算している。カジノ誘致は、ギャンブル依存症を新たに生み出し、さらに増加させるだけである。

維新の会は、「カジノは成長戦略の起爆剤」と主張するが、カジノによる経済効果の見込みは疑わしく、そもそも人の不幸を踏み台とする経済成長などあり得ない。

3 当初、松井一郎大阪市長は、「カジノには1円の税金も使わない」と明言してきた。ところが、カジノ建設予定地の土壌改良に790億円もの費用負担が明らかになった。また、カジノ建設予定地の夢洲へのアクセス道路として想定されている「淀川左岸線2期工事」の総事業費は、当初計画の1162億円から約2900億円に膨れ上がることも明らかになっている。

さらには、大阪市がカジノ建設予定地の賃料などの算定を不動産鑑定業者に依頼したところ、4社のうち3社で土地の価格や賃料などが一致しており、不動産鑑定への談合疑惑が浮上している。

カジノ誘致のための莫大な公費負担は、断じて容認することができない。

4 夢洲地域は、大阪湾や河川の浚渫土砂や産業廃棄物、建設残土などの最終処分場であり、ダイオキシン類などの有害物質も埋め立てられている。そのため、深刻な土壌汚染が危惧されている。 ところが、大阪市の土壌汚染調査は、広大なカジノ建設予定地の1ヶ所しか行われておらず、埋立層の最深部に届かない不十分な調査であったことも判明している。

5 新型コロナウイルスの感染拡大から3年近くとなる 。大阪のコロナ死者数は全国 ワーストを記録している。コロナに対応する保健所の数は、人口比で大阪府は全国で最も少ない。急性期病床を削減したことも、コロナ死者数増加の原因の一つである。大阪府は、今年3月末にコロナ対策12事業の廃止・縮小の方針を示し、コロナ「5 類」引下げの先取りを進めている。

また、円安による物価急騰が、府民の暮らしを苦しめており、 府民の不安は募るばかりである。

カジノ誘致に莫大な公費を負担するのではなく、府民の命と暮らしを守るための政治こそが最優先とされなければならない。

6 民主法律協会は、カジノに反対し「カジノ誘致計画」を認可しないよう求めるとともに、カジノ誘致を強行しようとする維新政治を府民本位の政治に転換するために全力を尽くす。

2023年2月18日
民主法律協会2023年権利討論集会

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