民主法律時報

なくそう! 官製ワーキングプア 大阪集会vol.10のご報告

弁護士 冨 田 真 平

10月30日にドーンセンターにて「なくそう! 官製ワーキングプア大阪集会vol.10 」が開催されました。

今年も例年通り午前中は3つの分科会に分かれ、午後から全体会「問われる公共サービスの営利企業委託」がリアルとYouTube配信のハイブリッド方式で行われました。

全体会のパート1では、「たたかいの現場からの報告」と題して、大阪医療刑務所の偽装請負裁判、兵庫県立こども病院の不当労働行為救済申立事件、堺学童保育指導員採用拒否事件について、それぞれ当事者・組合から報告・訴えがありました。

パート2では「会計年度任用職員の任期問題」と題して、まず小野順子弁護士を講師にミニ学習会を行い、会計年度任用職員をはじめとする非正規公務員の雇止めの問題等についての労働組合の取組みや人事委員会や公平委員会の活用などについても報告がありました。その後、当事者発言として、非正規の教員の雇止めの問題等に取り組む大阪教育合同労組から大阪府労働委員会での不当労働行為救済申立事件について報告があり、またパワーハラスメントを受けた上に雇止めをされた当事者の方からの訴えがありました。

パート3では、特別報告として、大阪自治体問題研究所事務局長の猿橋均さんから「維新、府・市政14年間で大阪の自治体はどう変わったか(調査結果の分析から)」と題して、維新政治のもとで大阪の自治体の民間委託が進んだこと、さらには委託先としても大手の営利企業が入り込んできたことなどについて報告がありました。

パート4では、「営利企業委託は何が問題か」と題するシンポジウムを行い、山谷清志同志社大学教授からの講演、吹田市の委託費の分析報告がありました。また、ミニシンポとして、守口市の学童保育、春日部市の学童保育についての報告や、吹田市民課で民間委託を阻止した闘いの報告などが当事者から行われました。また、民間企業への委託ではなく市が100%出資する財団への委託で行っている武蔵野市の学校給食の事例の報告がありました。

集会全体を通じて、2020年からスタートした会計年度任用職員制度がなかなか待遇改善につながらず、さらに雇用がより不安定になっていることや、本来国・自治体が行うべき公共サービスが民間の営利企業に委託され、サービスの質の低下、サービスの担い手である労働者の更なる待遇の悪化を招いていることなどを実感しました。また、公共サービスの質を確保するためには、そのサービスを担う労働者の雇用の安定・処遇改善は必要不可欠であり、サービスの担い手である非正規公務員の雇止め・待遇の問題や民間委託、さらには委託先の営利企業の労働者の待遇の問題は公共サービスを受ける住民側にとっても非常に関係のある問題であることも改めて認識しました。

なお、当日の全体会の様子は下記のQRコードからYouTubeでご覧いただけますので、是非ご覧下さい。

 

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