民主法律時報

Q:人事評価の基準となる「能力評価」「業績評価」とは?

Q:条例案では、一般職員の人事評価の基準として、能力評価と業績評価を挙げていますが、具体的にはどのようなものでしょうか。

A:条例案8条において、能力評価とは「職員がその職務を遂行するに当たり、発揮した能力を把握した上で行われる評価」、業績評価とは「職員がその職務を遂行するに当たり、挙げた業績を把握した上で行われる評価」とされています。また、業績評価については、「業務目標に応じて」行わなければならないとされています。
 この文言のみでは抽象的ですが、能力評価とは、業務に取り組む意欲や姿勢など、業績に関わらない事項についての評価、業績評価とは、「業務目標」に対し、どの程度達成できたかという事後的観点からの評価と、一応は考えられます。
 この点については、規則で細目の基準が定められ、公開されることになっています。
 上記の評価のうち業績評価は、「組織の業務目標に応じて」行うこととされています。
 しかし、公務は本質的に、数値による客観的な業務目標やノルマを策定し、その目標に達したから「業績」が上がった、というような業務ではありません。
公務の中には、リスクや負担があったとしてもあえて実施しなければならないものもあれば、長期的なスパンで見て初めて成果が現れてくるものもあります。また、手続的な要請などから、迅速な処理よりも慎重な判断が要請される場合もあるでしょう。そのような種々雑多な公務にとって、何をもって「目標」として定めるのでしょうか。また、仮にそのような目標を定めたとしても、目標を達成したことが、単純に「業績」すなわち職員の能力の高さを示すものであり、職員に対して高い評価を与える根拠となりうるのでしょうか。
 公務とは、1年の期間の中で、数値目標などを設定して、その目標を達成したかどうかで計れるものではありません(また、仮に、数値などの客観的指標によらない目標を設定することになれば、恣意的かつ不安定な評価を招き、そのような評価で給与等の重要な労働条件に差をつけることになるという問題が生じることになります。)。
 個々の職員に対し、同一の指標で短期的な評価を繰り返すという制度設計は乱暴です。公務に対して「業務目標」を設定し、達成いかんによって「評価」しうるという前提こそがフィクションであり、もともと無理があります。

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