Q:条例案では、人事評価で2年連続して最低の評価となった職員に「特別研修」を受講させ、なお改善されない場合には、分限免職することとされていますが、どのような問題があるでしょうか。
A:条例案では、校長は、「授業・生活指導・学校運営等への貢献」を基準に5段階で人事評価を行うと定めていますが、この人事評価は相対評価で行われるため、必ず下位5%の最低評価の教員を定めなければなりません。
このような徹底した相対評価が実施されることになれば、教員は、免職をおそれて、最低評価をつけられないように、他の教員との競争を強いられることになります。そうすると、教員は、生徒一人一人と向き合い、教育指導をするだけの時間的及び精神的余裕が奪われることになります。しかも、教員間での競争を強いられることにより、互いの教員は、競争相手である他の教員とともに協力して教育指導にあたることも困難になります。
また、相対評価を徹底すれば、その学校の教員による授業や生活指導等が優れており、良好な教育環境が整っていたとしても、必ず相対評価によって最低評価の教員が指名されてしまい、授業や生活指導等が優れているにもかかわらず、「特別研修」を受講させられることになります。しかも、この「特別研修」は、教員の免職を検討するためのものにすぎません。
そして、その教員が免職されれば、次の年度からは、また教員らが、最低評価をつけられないように競争を開始し、その学校で2年連続最低評価とされた教員が免職されることが繰り返されます。
このような相対評価の徹底により、人事評価で2年連続して最低評価となった教員を免職とすることは、教育現場における教師間の競争を激化させ、生徒一人一人と向き合い、生徒の心身を発達、成長させる教育指導が極めて困難となるという大きな問題点をはらんでいるのです。