Q:条例案は、教員の人事評価や教科書採択について学校運営協議会が意見を出せると定めています。このことには、どのような問題がありますか。
A:現在、教職員に対する人事権や、教科書を採択する権限は、教育委員会に委嘱されています。これは、時の政府の意のままに押し進められた、戦前の軍国主義教育を反省し、戦後教育の政治的中立性をうたった現行教育法制にのっとったものです。
しかし、条例案は、校長が委嘱した委員で構成される協議会に、教員の人事評価や教科書採択についての意見を出す権限を与え、政治的に中立な教育委員会の権限を弱体化させるものとなっています。
学校協議会は、こちらのQ&Aのとおり、校長の委嘱により構成委員が決められることとなっており、「校長寄り」のメンバーとなってしまう危険性があります。
したがって、かかる権限を協議会に与えることは、結果として、校長及びその周辺の人間が、教職員に対する人事権や教科書採択に関する権限を持つことになってしまいます。
結局のところ、学校協議会に教科書採択(学校教育の内容)や教職員の人事権に関わる強い権限を与えることは、校長の権限を強大化することにつながっているのです。
そして、条例案において、校長は、知事が設定した高校教育の実現目標を、具体的に実現していく役割を与えられています。
校長の権限を強化させ、教育委員会の権限を弱体化させることは、知事の政治力を学校教育現場に直接的に及ぼすねらいがあると考えられます。
このような権限委譲は、明らかに教育行政の政治的中立性に反するものです。