民主法律時報

看板に偽りあり! これが大阪都構想 ~ 事実を隠し、夢を売る維新政治 ~ 在阪法律家団体オンライン学習会報告

弁護士 愛須 勝也

1 はじめに

2020年9月23日、民法協、自由法曹団大阪支部、青法協大阪支部、大阪弁護士9条の会が共催するオンライン学習会を開催。講師は、フリージャーナリストの幸田泉さん。以下、要点を報告する。

2 反対票対策のための法定協議会

維新は、前回住民投票の反対70万票の理由を、①市民的メリットが分からない、②住民サービス劣化に対する不安、③ムダ減らしにならない、④大阪市がなくなるの4つに分析。これを「賛成」にするため法定協議会を重ねたので、都合の悪いところを隠蔽する傾向が強く、市民をだます手口は前回より巧妙・悪質に。

3 市民的メリットはない

メリットを見せることが強調され、経済効果を数字で見せるため、嘉悦学園に1000万円かけ委託、10年で1兆円もの経済効果がはじきだされた。しかし、市民からの指摘で誤りが続々判明、 カ所近くも訂正に。報告書自体の信用性が怪しい上に、コロナによる経済状況の変化はまったく考慮されてない。

4 ムダ減らしにはならない

前回は新庁舎建設に600億円もかかる点が評判が悪かったので、現市役所を中之島庁舎として残し各区の職員を寄せ集めることに。協定書が想定する中核市モデルによると330人もの職員増員が必要に。

5 大阪都構想と市民サービス低下はセット

結局、「都構想」は予算の付け替えに過ぎず、構造的に何かを削らなければない。必然的に住民サービスが削除される。現在、全区24カ所にある市民プールも9カ所に。介護保険などの行政事務が巨大な一部事務組合によって担われることになるが、協議されないまま大混乱が危惧される。

6 区役所もなくなる(デマではない)

区役所がなくなることに対する不安も高かったので、「区役所がなくなるというのはデマ」と弁明に必死。現在の24の行政区を「地域自治区」という形で残し、「地域自治区」事務所を「区役所」と呼ぶというインチキぶり。

基準財政需要額が200億円足りないという試算が自民市議団から出たが、府市は不足分は夢洲カジノのカジノ税(350億円)をあてにしており、都構想とカジノ構想が連動。「都構想を支えるためにカジノをやらざるを得ない」関係。コロナでカジノ企業は相次いで撤退表明する中、残った業者に条件引き下げてでも思いとどまらせることに。

7 動けば変わる

世論調査では賛成、反対が拮抗。反対派は生活密着した具体的な判断、賛成派は漠然としたイメージで、都構想になれば成長するという夢。しかし、70%が説明不足と感じる状況。知れば知るほど反対派が増える。

ここに確信を持って、残された期間、どれだけの市民を投票所に足を運ばせることができるかにかかっている。

 

※「大阪市を廃止し特別区を設置することについての投票」は、10月13日から期日前投票・不在者投票 開始、投票期日は11月1日です。

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