民主法律時報

「教員の働き方を考える」つどい

弁護士 清水 亮宏

 2018年7月19日、働き方ASU-NETとの共催で、「教員の働き方を考える―長時間労働・有期雇用・ブラック経営―」と題する集会を開催しました。開催場所はエル・おおさか、参加者は66名でした。

教員の労働問題に詳しい内田良名古屋大学准教授の講演「教師のブラック残業に迫る」では、教員の長時間労働の問題や、労働時間が適切に管理されていない問題について、統計や教員の声等を紹介しながらわかりやすく報告いただきました。また、ブラック部活動や給特法の問題など、教員に特徴的な労働問題について、現状と背景をご説明いただいたほか、“子供のため”“楽しい”といった理由で教員が長時間労働に陥ってしまう構造的(心理的)な背景についても説明がありました。最後には、制度設計なき部活動や制度設計なき長時間労働をなくしていく必要があると締めくくられました。

その後、関西大学労基申告解雇事件の弁護団から、事件の経過報告等について説明があったほか、関西大学初中高教職員組合・原告本人から、支援の訴えがありました。
続いて、リレートーク「教育現場で何が起きているのか」が行われました。

私学教員ユニオンの坂倉昇平さんからは、私学教員には給特法が適用されないが、教員自身がこのことを知らず、適法であると思い込まされていること、私学教員にも長時間労働が蔓延しており、打ち合わせの時間を確保することすら難しい状況にあること等、私学教員の働き方に関する現状報告がありました。また、教員の意識を変えていくこと、既に立ち上がっている人が闘っている姿を見せていくことが重要であるとの問題提起がありました。

近畿大学教職員組合書記長の浜田太郎さんからは、みなし残業代、変形労働時間制、労働時間の適正管理の問題、業務の範囲と自発的な活動の区別のあいまいさ等、労働時間に関する様々な問題点を報告いただきました。また、情報を共有して共闘する取り組みが必要であり、今後、組合の相互の連帯が重要となるとの問題提起をいただきました。

関西大学初中高教職員組合委員長の大谷和海さんからは、教員の多忙化、事務作業の増加、研修機会の増加等、教員の長時間労働について現状報告がありました。また、クラブ活動を労働時間として認めさせるための組合の取組みについても報告をいただきました。そして、分断されないようにすることが重要、動けば風は変わってくる、連携を取りながら闘っていきたいとの問題提起をいただきました。

関西圏大学非常勤講師組合書記長の江尻彰さんからは、大学の非常勤講師が3、4の大学を掛け持ちしている現状や、 コマ程度を担当しないと生活が厳しいという現状等について報告をいただいたほか、5コマで最低生活ができることを目指した労働組合としての取り組みについても報告をいただきました。最後には、無関心を変えていくことが重要であるとの問題提起をいただきました。

今回のつどいは、教員の働き方の問題について現状を共有し、団体の枠を超えて運動を広げていく必要性を認識できる非常に良い機会であったと思います。参加者に教職員組合の関係者が多く、問題認識を共通する人々が一堂に会することができたのも今回のつどいの特徴であると思います。
運動の輪を広げ、教員の働き方を変えていくきっかけとなる集会になりました。

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