民主法律時報

有期・派遣2018年問題 働く仲間の「たたかい方改革」集会のご報告

弁護士 細田 直人

2018年3月16日午後18時30分から、有期・派遣2018年問題働く仲間の「たたかい方改革」集会を開催しました。
2018年は、有期労働者の無期転換ルールやそれに伴う雇止め、派遣労働者の3年の期間制限(個人単位・事業所単位)など、非正規労働者の雇用に関する問題(2018年問題)が頻出することが懸念されています。
そこで、この問題についていかに立ち向かうか、無期転換や派遣労働者の直用化の制度を改めて確認し、理解を深め、2018年問題に対するたたかい方を改革しようということで、民法協のパート研と派遣研が初めて共催で集会を実施しました。
須井事務局長の現在の非正規労働者を取り巻く現状を含めた開会あいさつから始まり、谷真介弁護士に無期転換ルール、派遣の直用化制度に関する講演をいただきました。

谷弁護士からは、無期転換ルールの要件や、有期労働契約が更新され通算5年を超えた時から1年以内に労働者からの申し込みが必要なこと、組合や労働者個人で無期転換権を行使するときの書式に関する説明がなされました。
非正規労働者の多くは、この無期転換ルールのメリットやそもそもその存在を知らないという現状から、周知の活動の重要性や方法、不更新条項やクーリング期間といった使用者側の対策に関する対処法の説明がなされました。不更新条項を含む契約条項への合意を求められた場合の対処としては、トイレに駆け込んで外部と連絡をとって相談したり、録音をとったりといった具体的方法も紹介されました(パート研リーフレットにも記載)。

次に、村田浩治弁護士から、派遣労働者を取り巻く状況や、事業所単位の3年ルールを超えて派遣労働者を受け入れる場合の事業所の意見聴取に関する実態などの報告がなされ、派遣労働者の権利を守るために派遣先を巻き込んだ運動の必要性が訴えられました。
次に、2018年問題に取り組む6名の方からの発言を頂きました。
2018年問題に関する組合の活動について、無期転換ルールの特例に当たる私立大学の非常勤講師の雇用の現状と取り組みや、NTTにおける労契法 条の改正を見込んでなされた3年の期間制限と正社員登用制度の問題が報告されました。
労働局の無期転換ルールに関する対応と取り組みについても発言を頂き、非正規労働者が労働局を活用する方法を紹介していただきました。
クーリング期間の提案を受けた大学の非常勤講師の方からは、組合とともにたたかい、クーリング期間のない条項で更新ができたこと、その後の授業数を減らす大学からの提案にも不利益変更であるとして、以前の団交を経た結果からか大学側に提案を撤回させた活動や、KBS京都において、非正規労働者の待遇改善を勝ち取りながら前進した無期転換・派遣直用化を勝ち取った報告からは、非正規の雇用を守り、また無期転換・直用後の支えとなる組合活動の重要性を再度確認することができました。
そして、派遣労働者を事業所3年のルールを超えて受け入れるための意見聴取手続に関して行われた労働者代表選出選挙、職場アンケートについて報告を頂き、派遣労働者の直用には、派遣先労働者を巻き込んだ運動を行う必要性があることを学びました。

最後に、河村学弁護士から、均等待遇を求め、雇止めや派遣労働者の直用化に向けた行動提起がなされ、鎌田幹事長の閉会の挨拶で締めくくられました。
40名ほどの参加ではありましたが、非正規問題の取り組み方について、制度そのものの理解を深められ、また、個別の非正規労働者にどのようにアドバイスをしていくのかといった方法論、組合や弁護士が、如何に運動を盛り上げていくかの行動論など様々な点での議論が活発に行われ、2018年問題に取り組む体制をより一層強めることができました。

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