現政権は、2017年12月22日、生活扶助基準を最大で5%と大幅に引き下げ、年間160億円を削減する予算案を閣議決定した。
現政権は、既に、2013年8月から段階的に生活保護費を引き下げてきた。
2013年から2015年までの引下げ総額は670億円であり、引下げ幅は最大で10%にも及ぶ。生活保護受給世帯の96%が影響を受けた。
2015年には、住宅扶助基準と冬季加算も大きく削減され、生活保護受給世帯はさらなる困窮へと追い込まれた。
全国29都道府県、950名を超える原告が、生活保護引下げ違憲訴訟を提起した。大阪でも、50名以上の原告が、2014年12月の提訴以来、現在も裁判闘争を続けている。
今回の引き下げは、まさに今、これまでの引き下げで生活に苦しんでいる生活保護受給者が裁判で闘うさなかの決定だった。
現政権は、生活保護を受けるべき世帯の2割から3割程度しか生活保護を受給できていないのに、全世帯の所得階級を10等分したときの一番低い所得層である「第1十分位層」の消費水準を比較対象として、生活保護基準の引下げを決めた。この論理では、生活保護の水準が際限なく下げられてしまう。
生活保護基準は、多くの社会保障の基準と関連する。生活保護基準の引下げは、社会保障全体の引き下げを招く。最低賃金額も保護基準が参考にされる。生活保護基準の引下げは、市民全体の最低限の安全網を脅かす。このような現政権の失策を、厳しく非難する。
当会は、憲法25条がすべての人間に保障する基本的人権たる生存権、ひいては「人間の尊厳」を守るため、さらなる生活保護費の引下げに断固反対し、多くの団体、市民とともに闘い、支援を広げることに取り組む。
2018年2月17日
民主法律協会2018年権利討論集会