決議・声明・意見書

決議

憲法の破壊・9条の改悪を許さず、その阻止のために力を尽くす決議

今まさに、平和憲法は、重大な危機に直面している。それは安倍政権が、解釈・立法による憲法破壊を強行しつつ、明文改憲に執念を燃やし、日本の軍事大国化をさらに推し進めようとしているからである。

安倍政権の歩みは、憲法の「破壊」の歴史でもある。すなわち、第一次政権時の2007年に国民投票法(日本国憲法の改正手続に関する法律)を制定し、第二次政権時、2013年11月に国家安全保障会議(日本版NSC)を設置し、同年12月に秘密保護法を制定した。2014年7月には、それまでの憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行い、2015年9月には、戦争法(平和安全法制整備法等)を、多くの国民からの疑問と批判の声を無視して強行成立させた。同年11月には、既成事実を作ろうとして、「駆けつけ警護」の任務も加えて南スーダンに自衛隊を派兵した。さらに、今年6月15日、政権に対する批判的言動を抑圧することを容易にする共謀罪法を「中間報告」による強行採決という手法を用いて成立させた。

そして、安倍政権は、時期を明示しての9条改憲を打ち出している。憲法記念日であった本年5月3日、安倍首相は、憲法9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込み、2020年に改正憲法の施行をめざす考えを示した。自民党は、今秋の臨時国会にも改憲原案を提出する方針を打ち出した。早ければ2018年中にも改憲発議・国民投票実施となる可能性がある。

しかし、安倍政権の9条改憲は、単に自衛隊の存在を明記するだけではなく、現行憲法9条1項、2項を空文化するものである。集団的自衛権行使容認の閣議決定と戦争法を前提として9条改憲を行うものである以上、集団的自衛権行使容認と海外での武力行使に憲法上もお墨付きを与えることになることは、火を見るよりも明らかである。

安倍政権が推し進めるのは「海外で戦争できる国づくり」であり、日本の軍事大国化である。しかし、日本の軍事大国化は、相手国との間の政治的・軍事的緊張を増大させ、かえって人々の安全を損なう結果になるだけであり、平和を導くことは決してない。安倍首相の言うところの「積極的平和主義」はまやかしにすぎない。近隣諸国との間にあっては、相互不信と軍拡競争を強めるのではなく、対話と信頼による平和的な共存がめざされなければならない。

憲法9条及び平和主義の原点に立つならば、いかなる理由があろうとも、日本が再び海外で武力行使をして戦争という過ちを繰り返すことが絶対にあってはならない。

平和憲法を擁護し、労働者と勤労者の権利擁護と民主主義の前進を目的とする民主法律協会は、憲法9条の改変や平和主義、民主主義、立憲主義を破壊する明文改憲に断固反対し、その阻止のために力を尽くすものである。

2017年8月26日
民主法律協会第62回定期総会

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