出版労連大阪地協 永石 幸司
子どもと教科書大阪ネット21と出版労連大阪地協が事務局団体となり、民法協や自由法曹団大阪支部、関西MICなど の労働組合や市民団体、教育研究団体などの賛同を得て、2016年5月22日(日)に大阪教育集会を開催しました。参加者は45名でした。
大阪大学大学院教授(人間科学部)で教育に関する制度・法律・行政が専門の小野田正利先生を講師に迎え、「〝破壊〟からの創造か、〝信頼〟からの未来か」という演題で、おおさか維新の政治が教育に与えた影響について情熱的に語っていただきました。
◎教育委員に居住要件を課すべき!
育鵬社の教科書の採択を決めた大阪市教育委員会の中心にいたのが大森不二雄委員長(12年5月就任。16年3月退任)。元々は文部官僚で、東京都立大学(現在の首都大学)に転身し、公募で教育委員→教育長→教育委員会委員長になった。その自治体の税金で報酬をもらうならそこに住んで住民票を移し、そこの空気を味わって教育に責任を持つべき。しかし教育委員に居住要件は何一つ課されていない。課されているのは市町村議会議員と都道府県議会議員だけだ。知事や市長にも居住要件を課すべきだ。
◎物言えぬ学校づくり・教師づくり
「大阪維新の会」府議団が中心となって12年3月に成立させた「教育基本条例」「職員基本条例」。総じて言えば、教育の自由をずっと狭めて、物言わぬ学校、物言わぬ先生、そして生徒たちもその方針に従わせるという状況に突き進めさせた。大阪の教育は明らかに悪くなった。物言えぬ雰囲気が学校現場に益々充満している。
◎破壊するのが快感の橋下徹氏
橋下氏のやり方は「破壊のエクスタシー」。壊すときには皆、右往左往する。これが嬉しくてたまらない。何かを打ち出し「悔しかったら対案出せ!」というパターン。最後は責任をとらずに辞めた。責任をとって最後まで見守るという姿勢がない。
◎管理強化と競争への誘導
学校現場は、徹底管理だけでなく、競争させられる状況になってきた。教員評価を給与にも差を付けるようになった。足の引っ張り合いへと繋がる。
◎全国学力テストの問題(学テ対策)
全国学力テストは始めて10年。2年前から結果を公表してもいいと変わった。先鞭をつけたのが橋下徹知事。点数を上げることに突き進んでいっている。小学5年の3学期まるまる、あるいは3月をテスト対策として、過去の問題をずっと解かせている学校は相当ある。去年慌ててやったのが大阪。学テの結果を使って高校入試の内申点を付けると突然言い出したからだ。普通の授業はやめて、過去問をやれ、という中学校がいくつもあった。本当に子どものためになっているのか。首長パフォーマンスで「成績を上げよ!」となると、結局は技巧的なところにも行ってしまう。発達障害や自閉症スペクトラムの生徒は別の教室に移動し、学テを受けてはいない。これが果たしてまともな教育と言えるのか。このことを考える必要がある。