民主法律時報

年度末は、首切りの季節 3月5日「年度末派遣切り防止ホットライン」の報告

弁護士 村田 浩治

 改悪派遣法施行を受けて、民法協、大阪労働者弁護団、連合大阪法曹団の有志で共同の派遣法改悪後のプロジェクトに取り組んできた。
その一環で、この年度末に契約更新をしないとか契約が大きく変わる不安が噴出するのではないかと予想して、ホットラインをすることにした。合計で16件の相談があった。

2 相談の内容
相談票に基づいて統計をとったところ、相談の内訳は、男性6名女性10名であり、派遣経験年数は、5年未満5名、5年以上5名、不明6名である。聴き取り出来ている、つまり詳細な相談は、60歳代が4名、40歳代が4名となっており、就職氷河期世代と再雇用世代で派遣、委託が活用されているのだろうかと思われた。

3 感想
相談全体では、職種は事務労働が多く、製造業は殆どなかった。年度末に向けて契約更新拒絶などが相談の大半となったのは予想通りであった。また、そのなかでも契約期間は5年以上が半分以上だったが、中には20年、18年間と派遣労働者として就労していた人、つまり派遣法改正前は長期の専門業務であった方の相談がやはり多かった。「専門業務」として長年派遣継続をしてきた派遣労働者が、派遣法改悪の影響を受けて契約更新にあたって、不安な状態に置かれていることがよく分かった。例えば、専門でなくなるのだから正社員と同じようにどんな仕事でもしてくれと言われているという女性労働者からは、「正社員なみの待遇なら何でもしろというのならまだ分かるが、業務限定だから、正社員なみの時給でないとしてきたのが、法律が変わったから正社員と同じ仕事をしろというのは納得できない」といった相談だ。今回の派遣法の目指すキャリアアップという効果よりも派遣労働は人ではなく仕事で対価が決まるという言い方がしやすかった点さえも、正社員なみの忠誠心の有無で契約が決定され、安上がりの正社員となる危険がはっきり示された。日本型の安上がり間接雇用という利用が拡大するのではないか危惧を覚えた。

その他、自治体の派遣職員の雇い止めなど具体的な事件もあり、派遣法改悪で非正規労働者の労働条件は大きく動き出している様子だ。法改正の影響を感度鋭くして見ていく必要があるように思う。労働組合を含む労働運動が取り組むことが重要になっている。

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