民主法律時報

「見守り弁護団@関西」の活動

弁護士 遠 地 靖 志

 「戦争法案、絶対廃案!」「憲法守れ!」というコールが響いた戦争法案反対の集会やデモ。SEALsやSADLなどの若者が注目されたが、彼らの集会やデモに、「弁護士」の腕章を付けた人たちがいたのをご存じだろうか。「見守り弁護団@関西」の弁護士たちである。私も見守り弁護団の一員として、デモや集会の見守りに参加した。
見守り弁護団は、SEALs KANSAIやSADLなどからの要請を受けて、集会やデモの際に、警察からの過剰な規制や戦争法賛成派からの妨害や挑発に対応したりしている。

例えば、2万人が参加した8月30日のデモでは、  名以上の弁護士が見守りとして参加した。この日はサウンドカー(荷台などに音響設備を載せて、デモのコールに合わせた音楽を流しながらデモを先導する車)が6台参加したが、各サウンドカーに警察官が数名べったりと張りつき、サウンドカー横の横断幕が沿道の人から見えなくなるという事態があった。そこで、その場にいた弁護士が警察官と話をして、警察を少し離したところで随行させるようにした。また、SEALs KANSAIが行っている梅田ヨドバシカメラ前の集会では、警察から法令上の根拠なく、「ビラを配布するな」と言われたのを、道路交通法に基づいて問い質し、ビラ配布を認めさせた。集会の様子をビデオで撮影しようとするのに対しても抗議をしてやめさせるなどしている。また、妨害者が挑発してきたときには、デモ参加者との間に入ってトラブルを防ぎ、場合によっては警察に対応を引き継ぐなどした。

もともと、見守り弁護団は、個別に見守りの依頼を受けた弁護士がばらばらに参加し、見守り活動を行っていた。しかし、7月19日の靫公園から難波までのデモでは、衆議院での強行採決を受けて、予想をはるかに超える8000人以上が参加し、個々の弁護士だけでは対応できない事態となってきた。そこで、参加していた弁護士が連絡を取り合い、見守り弁護団を結成したのである。
もっとも、見守り弁護団といっても、団長がいて、弁護団会議を定期的に開くなどの通常の「弁護団」ではない。むしろ、ネットワークというのが相応しい。弁護団のメーリングリストに登録すれば、弁護団の一員である。メーリスでは、集会やデモの情報を流し、その都度、各自が参加できるかどうかを表明する。もちろん、日常業務や家庭の事情で見守り活動に参加できない人もいる。人数が足りない場合には、民法協などのメーリスなどを通じて、見守りを呼びかけることもある。そのようにして、当日、見守り活動をできる人で見守りを行うのである。
私も含めて見守りに参加した弁護士は、ほとんどがこのような活動が初めてである。参加は表明したけれども、「何をしたらいいのか、よくわからない。」という人も多い。しかし、参加した弁護士はみな、若い世代が行動しているのを見て、彼らの活動が妨害されたりしないよう、弁護士としてできることをしたい、という気持ちで参加しているのである。

9月19日未明、戦争法は成立した。しかし、同月25日にSEALs KANSAIが主催した梅田ヨドバシカメラ前の集会では、戦争法を許さない、という思いをもった人が4600人も集まった。そこでも、見守り弁護団は活動し、さまざまな問題に対応した。
戦争法反対の集会やデモはいったん終了したが、戦争法廃止の運動はこれからも続く。また、デモや集会が行われるであろう。そのときには、また見守り弁護団が求められる。そのときにはぜひ多くの弁護士、とくに若手の弁護士に見守り弁護団に参加していただきたい。

民主法律時報アーカイブ

アーカイブ
PAGE TOP