安倍内閣は、本年3月11日、労働者派遣法改悪案を閣議決定し、通常国会に提出した。
間接雇用である労働者派遣はあくまでも例外的な働き方であり、直接雇用こそが大原則である。そのため、これまでは、派遣労働が常用雇用の代替とならないように、労働者派遣の受け入れは、臨時的・一時的な場合に、あるいは、専門的な業務に限定されてきた。
ところが、今回提出された法案では、常用代替防止という労働者派遣法制定当初からの立法趣旨を事実上放棄して、①業務による区別を廃し、②派遣元で無期雇用されている派遣労働者については派遣受入期間の制限をなくし、③派遣元で有期雇用されている派遣労働者については、労働者派遣契約は3年が上限とされるため派遣労働者にとっては3年で派遣が終了し次の派遣先が見つからない限り仕事を失うことになるが、企業側は派遣先の過半数労働組合若しくは過半数代表者の意見聴取さえ行えば一応3年とされている派遣受入期間を何回でも更新し続けることができるとしている。
このような改悪が実現されれば、企業はあらゆる業務について、事実上、期間の制限なく永続的に派遣労働者を利用できることとなり、不安定な立場に置かれる派遣労働者が大幅に増加することが予想され、直接雇用の原則は大きく損なわれる。
法案は、通常国会においては、本来「一年以下の懲役」とすべきところを「一年以上の懲役」とした重大な誤記が発覚するなどした結果、本年6月20日に廃案となったものの、安倍内閣は秋の臨時国会において、再び同趣旨の改悪案の成立を目指している。
民主法律協会は、労働者派遣を恒久化する労働者派遣法改悪を決して許さず、臨時国会において再び廃案に追い込むために全力を尽くす。
2014年8月30日
民主法律協会 第59回定期総会